トランプ政権誕生で不動産市場はどう変わる?

先日の米国大統領選挙でドナルド・トランプ氏がヒラリー・クリントン氏を破り、次期大統領に就任することが決まりました。

選挙戦ではトランプ氏の発言や行動を巡って色々と騒動にもなっていましたが、多くの世論調査を裏切りサプライズ当選となりました。

トランプ大統領の誕生で世の中はどう変化するのか?

今回は日本の不動産マーケットに及ぼす影響をテーマに取り上げたいと思います。

あくまで筆者の予測として紹介しますので、今後の不動産マーケットを知る上での一つの参考として読んで頂ければ幸いです。

トランプ政権の目玉はインフレ政策

不動産市場を占う前に、まずは相関性の強い株式市場の動向をチェックしていきたいと思います。

11月8日大統領選挙開票日の株式市場は荒れに荒れました。

トランプ氏の当選確実が報道されると日経平均株価は1,000円弱の下落を記録し、従来の予想通りトランプ氏の当選は経済にネガティブというように評価されてしまいました。

しかし、株価の下落はその一日限りで、翌日の日経平均株価は前日の大暴落を上回る大暴騰。

本国の米国株式市場に至っては連日の史上最高値を更新と活況を呈しています。

では、なぜ株価は上がっているのか?

理由の一つとして挙げられるのは、トランプ政権によるインフレ政策への期待によるものだと考えます。

そして、このインフラ政策は日本の不動産市場には追い風となります。

詳細は割愛しますが、大幅な法人税の減税、所得税の減税、相続税の撤廃、インフラ投資を中心とする財政出動、金融規制の撤廃などが代表的な経済政策でしょうか。

この政策が実現されれば、膨大なマネーが市場に溢れインフレ経済が起こると予測できます。

米国がインフレになると日本経済はどうなるでしょうか。

高い確率で起こりうることは、為替が円安トレンドになるということです。

米国がインフレになれば、米国債は売られ米国債の金利は上昇します。

米国債の金利が上昇すると、金利差によってドルが買われて円が売られやすくなります。

為替が円安になるということは、輸出企業を中心に日本経済は好景気になりやすく、また、海外から日本にマネーが流入しやすくなるため、日本でも株や不動産などの資産価格が上昇しはじめるのです。

以上のことから、トランプ氏のインフレ政策→日本は円安・株や不動産などの資産価格が上昇→不動産市場が活況になるだろうと予測できるのです。

インフレでも金利は上昇しない日本

トランプ氏のインフレ政策は、日本にもインフレ環境を誘発し不動産市場にとってもプラスになる可能性が高いと紹介したところで、次に気になるのは金利です。

確かにインフレによって不動産や株などの資産価格は上昇傾向になりますが、それに伴い金利も上昇するのが本来の常識です。

せっかく不動産価格が上昇傾向になっても住宅ローンの金利が高くなれば不動産市場にはマイナスとなってしまいます。

今後、住宅ローン金利は上昇してしまうのでしょうか。

筆者の見解からすると、金利は上昇しにくいと思っています。

理由は日本銀行による施策によるものです。

この施策は指し値オペと言われるもので、急な金利上昇を防ぐ措置として2016年11月に実際に発動しており、このところの急速な金利上昇を抑えるのが狙いです。

この指し値オペによって世界的に金利が上昇している中でも日本は低金利に抑えるかたちとなっています。

今後、不動産価格は上昇する見込みがあり、尚且つ、住宅ローンは低金利を維持という環境が続けば、不動産市場の見通しは明るくなります。

不動産市場の過熱によりバブルの懸念も

ここまでトランプ政権がもたらす日本の不動産市場への影響として、ポジティブな内容を紹介してきましたが、注意しなければならないのがバブルの心配です。

現状でも、不動産市場の過熱感が叫ばれている中で、更なる過熱はバブルを起こす懸念があります。

バブルはいずれは崩壊する運命にあります。

今は日本銀行が頑張って金利を抑えていますが、バブル崩壊や世界的な金利上昇の影響で、今後の住宅ローン金利の急激な上昇も無くはありません。

これから不動産の購入を検討している方は、特に買い時や住宅ローンの組み方を見極める必要があるかと思います。

一方、不動産の売却を検討している方は、今後、更なる不動産価格の上昇を期待して売り時を少し待つという考え方もあるかもしれません。