あなたは、いま住んでいる自宅を売りに出した時、一体いくらぐらいの値段がつくか把握していますでしょうか?
自宅の売却活動を不動産会社へ依頼する前に、売主自身でも、ある程度の相場感を身に付けておくことが必要です。
なぜなら、不動産会社は、相場感を含め売主が不動産に関して知識が無いことが分かると、自分たちの都合の良いように売買取引を進めていってしまうケースもあるからです。
昔と違ってインターネットが普及している現在では、不動産に詳しくない一般の方でも、ある程度の知識と相場感を身に付けることは比較的容易です。
今回は、不動産に詳しくない方でも、簡単に自宅の相場を調べられる方法を、「土地」と「マンション」に分けて解説していきます。
不動産の専門家のような知識は必要ありません。
売却活動において、不動産会社が何について話しているのかが分かる程度の知識で大丈夫です。
今から紹介する方法を利用して、自宅の相場価格がどれくらいになるかご自身で調べてみてくだい。
また、現時点で自宅の売却を考えていない方でも、大事な資産である自宅の価値を知っておくことは大切です。
ここでの内容をぜひ参考にして、将来の売却活動にご活用ください。
土地の相場価格を調べる方法
土地の相場価格を調べる方法は、「国土交通省が運営する不動産情報ライブラリ(旧・土地総合情報システム)の「 土地取引価格の概況」で調べる」と「不動産ポータルサイトで調べる」の大きく2つがあります。
両方ともインターネットで簡単に調べることができます。
不動産情報ライブラリで調べる
「不動産情報ライブラリ」とは、公示地価や基準地価などの土地価格の閲覧や過去に実際に行われた売買事例などを検索することができる国土交通省が管理しているサイトです。
ネットで「不動産情報ライブラリ」と検索すれば、誰でも無料で利用できます。
先ずは、この不動産情報ライブラリで調べることができる公示地価と基準地価について解説します。
【公示地価】
公示地価とは、地価公示法という法律に基づいて、国土交通省が発表する毎年1月1日時点の土地の価格です。
国による公式な土地価格を発表することで、適正な土地売買の円滑化を図っています。
日本全国約2万カ所以上に公示地価の対象となる「標準地」が設定され、毎年3月中旬ごろに発表されます。
ちなみに標準地とは、国土交通省の土地鑑定委員会という組織が、その地域の環境や地形等を総合的に判断し、平均的(標準的)な場所が選ばれます。
公示地価の発表は、新聞やニュースなどでも毎年大きく取り上げられるので、言葉自体は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
公示地価は、不動産鑑定のプロである「不動産鑑定士」によって価格が決められ、土地価格を調べる指標としては最も代表的なものなので、不動産会社による土地査定においても日常的に活用されています。
【基準地価】
基準地価とは、国土利用計画法という法律に基づいて、各都道府県が発表する毎年7月1日時点の土地の価格です。
日本全国約2万カ所以上に基準地価の対象となる「基準地」が設定され、毎年9月下旬ごろに発表されます。
基準地は、公示地価の対象となる標準地と評価方法はほとんど同じである為、ただ単に呼び方が違うだけと認識してもらっても大丈夫です。
基準地価は、公示地価でカバーできなかったエリアを中心に土地価格を算出しており、公示地価の補完的な役割を担っています。
ですので、自宅の近隣に公示地価(標準地)が無い場合は、基準地価(基準地)が近隣で設定されている可能性があるので調べてみてください。
【不動産取引価格情報検索】
不動産情報ライブラリは便利なツールで、上記の公示地価や基準地価を調べる以外に「不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード」にて、過去に実際に行われた不動産の売買事例を閲覧することができるのです。
一昔前までは、過去の売買事例というものは、不動産会社のみが保有していた独占的なデータでした。
しかし、現在では、この不動産情報ライブラリによって、一般の方でも過去の事例をチェックすることが可能となりました。
少しずつではありますが、不動産業界も情報の透明性が進んできたような気がします。
さて、この不動産価格情報の検索では、「地域(住所または駅・路線名)」「売買時期」、「不動産の種類(ここでは土地を選択)」、「所在地域」の検索条件を入力することで、下記のような土地の売買事例を見ることができます。
<不動産取引価格情報検索で閲覧できる売買事例の項目~土地編~>
- 所在地
- 地域(住宅地、商業地、工業地など)
- 最寄り駅、最寄り駅からの距離
- 取引総額
- 坪単価・㎡単価
- 面積
- 形状(整形、不整形など)
- 今後の利用目的(住宅、店舗、事務所など)
- 前面道路の幅員、種類(公道、私道など)、方位
- 都市計画
- 建ぺい率
- 容積率
- 取引時期
- 取引の事情等
- 周辺の地価公示
- 周辺の地価調査
以上のように、不動産情報ライブラリでは、過去の売買事例について細かい項目まで閲覧することができます。
取引時期も直近から2005年まで遡って調べることができます。
検索結果の内、自宅の条件に近い事例を複数ピックアップして、相場がどれくらいなのかを把握してみてください。
ワンポイント解説<相続税路線価・固定資産税路線価>
上記で紹介した公示地価と基準地価以外にも土地の相場価格を調べる上で参考となる指標があります。
ここでは、実際に不動産会社も土地の査定で活用する相続税路線価と固定資産税路線価について解説します。
ちなみに相続税路線価は国税庁、固定資産税路線価は各市町村が管轄しています。
① 相続税路線価
土地に接する道路(路線)に付けられた1㎡あたりの土地単価のことです。その年の1月1日時点の公示地価の8割程度が水準となります。
本来の目的は、相続税や贈与税の計算に使用される指標であり、毎年7月頃に国税庁が発表します。
② 固定資産税路線価
相続税路線価と同様に土地に接する道路(路線)に付けられた1㎡あたりの土地単価のことです。
基準年度の前年の1月1日時点の公示価格の7割程度が水準となります。
本来の目的は固定資産税や不動産取得税等の計算に使用される指標であり、3年に1度のペースで路線価の評価替えがあります。
不動産ポータルサイトで調べる
土地の相場価格を調べるもう1つの方法が、不動産ポータルサイトを利用することです。
先ほどの不動産情報ライブラリでは、過去の売買取引の事例を調べることはできましたが、現在、売出し中の物件情報は掲載されていません。
不動産の価格は市況に応じて、こく一刻と変化していきます。
現在、売りに出ている物件価格の方が旬の相場を表しているので、こちらの情報も参考にして、土地の相場価格を調べてみましょう。
調べ方はいたって簡単です。
大手の不動産ポータルサイト(スーモ、ホームズ、アットホームなど)から自宅の土地と条件が近しい売り物件を検索して、チェックしてみましょう。
ここで気を付けることは、上記の<不動産取引価格情報検索で閲覧できる項目~土地~>で挙げている項目を参考に自宅と近しい条件の売り物件を見つけることです。
土地の価格は、立地場所や土地の大きさはもちろんですが、土地に接する前面道路の幅員や種類、土地の形状、建ぺい率や容積率などの諸条件によって大きく変わってきます。
不動産ポータルサイトでも売出し中の土地の詳細な概要が掲載されていますので、それぞれの条件を照らし合わせて、自宅はいくらぐらいの価値があるのか確認してみましょう。
また、ロードサイドで大きな土地をお持ちの方は少し一般の土地取引と違う商流とノウハウが必要です。ロードサイドの売買ノウハウ・買主をたくさん持っている「トチカツプロ」を活用してみると良いと思います。
ワンポイント解説<戸建ては耐用年数以内が命?>
不動産業界では、戸建ての建物価値は20年ほどで無価値になると言われています。
この根拠はどこからきているのでしょうか?実はこの20年という数字は税法上の耐用年数によるものなのです。
耐用年数とは、減価償却の合計年数を決めたもので、建物であれば毎年定額で減価償却されることになります。
耐用年数は建物の構造によって違っていて、もし建物の築年数が耐用年数をオーバーしてしまうと無価値と判断されてしまいます。
また、建物の耐用年数から築年数を差し引いた残存年数によっては、金融機関の融資が可能か不可能かの審査対象にもなっています。
実際に建物が使用できるか否かに関わらず耐用年数を過ぎると無価値になることについて、不動産業界内外でも疑問視されているのが現状です。
<構造別の建物の耐用年数>
- 軽量鉄骨造 19年
- 木造 22年
- 鉄骨造 34年
- 鉄筋コンクリート造 47年
マンションの相場価格を調べる方法
続いては、自宅マンションの相場価格を調べる方法を紹介します。
調べ方としては、土地の場合と同じで、「不動産情報ライブラリで調べる」と「不動産ポータルサイトで調べる」の2つになります。
土地と比べてマンションの方が、相場価格を調べるのは簡単です。
どのように調べるのか見ていきましょう。
不動産情報ライブラリで調べる
自宅マンションの相場価格を調べる上でも「不動産情報ライブラリ」は重宝します。
不動産情報ライブラリのサイト内にある「不動産取引価格情報検索」を利用して、自宅マンションと条件が似ている近隣マンションの売買事例をチェックしてみましょう。
この不動産取引価格情報検索では、「売買時期」、「不動産の種類(ここではマンションを選択)」、「所在地域」の検索条件を入力することで、下記のようなマンションの売買事例を見ることができます。
<不動産取引価格情報検索で閲覧できる売買事例の項目~マンション編~>
① 所在地
② 最寄り駅、最寄り駅からの距離
③ 取引価格
④ 間取り
⑤ 専有面積
⑥ 用途(住宅、事務所など)
⑦ 室内リノベーションの有無(改装済、未改装)
⑧ 今後の利用目的(住宅、店舗、事務所など)
⑨ 築年数
⑩ 構造
⑪ 都市計画
⑫ 建ぺい率
⑬ 容積率
⑭ 取引時期
⑮ 取引の事情等
以上のように、マンションにおいても細かい条件検索から売買事例を抽出することができます。
比較する事例を探す上で、自宅マンションと全て条件が一致する必要はありません。
マンションの価格形成に特に影響すると考えられる①、②、④、⑤、⑦、⑨あたりの条件が自宅マンションと同じような事例を探してみてください。
不動産ポータルサイトで調べる
不動産ポータルサイトでは、先ず、自宅マンションと同じマンションで売りに出ている部屋がないか確認してみます。
もし同じマンションで売出し中の物件があれば、自宅マンションの相場価格を知る上で非常に参考になります。
同じマンションの場合、建物構造や築年数、立地条件、都市計画などを比較検討する必要はありませんので、間取りや専有面積、所在する階数を考慮して相場価格がどれくらいか確認してみましょう。
なお、比較する売出し物件と自宅マンションの専有面積が違う場合は、一度売出し物件の価格を㎡単価に割り戻して、その㎡単価に自宅マンションの専有面積を掛けて価格を出してみましょう。
<比較する売出し物件>
○○マンション、10階、売出し価格5,000万円、専有面積70㎡、間取り3LDK
㎡単価71万円 = 売出し価格5,000万円 ÷ 専有面積70㎡
<自宅マンション>
○○マンション、10階、専有面積80㎡、間取り3LDK
自宅マンションの相場5,680万円 = 比較物件の㎡単価71万円 × 専有面積80㎡
以上のように比較物件の㎡単価を計算することで、自宅マンションのおおよその相場価格が分かります。
ただし、比較物件の売出し価格が、特別な事情により相場価格とあえて乖離した価格に設定されている場合は、単純比較はできませんので注意が必要です。
一方、同じマンション内で売出し物件が見つからない場合は、自宅マンションと条件が近しい近隣マンションで売出し物件がないか探してみましょう。
この場合は、マンションそのものが違う為、複数の売り物件をピックアップして、様々な視点から自宅と比較してみてください。
一括査定サイトを利用する
ここまで紹介したような自分自身で調べるやり方ではありませんが、自宅の相場価格を知る方法として、一括査定サイトを利用する手があります。
一括査定は、不動産会社と直接顔を合わせることなく、インターネット上で気軽にできることから便利なツールであることは事実です。
実際に自宅を売却しようと検討している方に限らず、ただ単に自宅の相場を知りたいという方も一括査定サイトを利用しています。
気軽で便利な一括査定ですが、利用する上で注意しなければならない事があります。
それは一括査定だからこそ起こりうる不動産会社の「意図的な高額査定」です。この「意図的な高額査定」により自宅の相場価格を誤って認識してしまう恐れがあるのです。
一括査定というものは、複数の不動産会社へ一括で査定依頼ができるわけですが、裏を返せば、査定依頼を受けた不動産会社同士で熾烈な競争が行われることになります。
査定依頼を受けた不動産会社が目指すゴールは、依頼者である売主と媒介契約を結ぶことです。
そこで不動産会社は、自社と優先的に媒介契約を結んでもらう為に、相場とかけ離れた高額査定を意図的に提示することがあるのです。
売主の立場からすると、自宅を一番高い金額で査定した不動産会社へ依頼したくなるものですよね?
しかし、この意図的な高額査定はあくまで不動産会社が媒介契約を取る為のおとり的な査定であるので、仮に市場に売りに出しても最終的には相場価格に合わせるように値下げせざるを得なくなります。
ですので、一括査定サイトを利用するのも1つの手段ですが、査定価格をそのまま鵜呑みにするのではなく、自ら調べた自宅の相場価格と比較して、査定価格に妥当性があるのか見極めることが大切なのです。
人工知能(AI)で自宅の価格を自動算出
一括査定サイトの利用の注意点として「意図的な高額査定」があるとお伝えしました。さらにもう一つ気をつけなければならないのが「大量の連絡」です。
一括査定サイトはWEBで完結はしませんし、数十秒で価格がわかるなんてことはありません。
一括査定サイトから査定の依頼連絡を受けた不動産各社が、人の手で査定をするのです。査定を入り口に媒介契約を締結することが不動産各社の最終目的ですので、熱心な営業連絡が続くこととなります。
不動産会社の営業連絡も受けずに、査定をWEBで完結させ、すぐに価格が知りたいという場合はAIを活用した自動査定サービスがおすすめです。HowMaであれば、不動産に関する簡単な情報を入力するだけで、売却相場価格や賃料相場価格が一瞬で表示されます。膨大な取引データを分析しAIが自動で価格算出をしますので、人の手も介しません。
不動産会社に査定の依頼をする訳でも、媒介契約締結を目的とした査定でもありませんので、営業電話は一切かかって来ません。本当に気軽に自動で自宅の価格を知ることができます。
まとめ
ここまで、不動産に詳しくない方でも簡単に自宅の相場価格を調べられる方法を紹介してきました。
現在は昔と違って、インターネットを駆使すれば一般の方でも自宅の相場価格を含め不動産に関する様々な情報を手にいれることができます。
売主自身がちょっとした手間を掛けることで、売却活動がスムーズに進み、それが最終的に自宅売却の成功に繋がります。
自宅の売却を不動産会社へ依頼する前に今回紹介したやり方で、ぜひ自宅の相場価格を調べてみてください。