土地の個人売買は法律上できる?メリット・デメリットや注意するべき点、契約までの手順・流れを解説【2024年最新版】

不動産を個人売買したいと検討する時

所有の土地を、不動産業者の仲介無く売買したいと考える時はおそらく、売買の相手が親や子、きょうだいや親族、あるいは親しい友人である時でしょうか。

隣人に所有地を売却する状況や、もともと貸していた土地を借主に売却する事になる場合なども当人同士のやり取りで済ませられたらと考えるのではないでしょうか。昨今ではインターネットで個人売買サイトを通じて知り合った相手と行うことも珍しいことではないようです。

そもそも不動産の個人売買は可能なのか

ではそもそも不動産の個人売買は法律上の観点などから見ても可能なのでしょうか。答えは可能です。

売主と買主を取りつなぎ、それによって利益を得る不動産業者のようなことは宅地建物取引業という免許を持たないとできませんが、利益を持たず、個人間で売買のみを行うことは違法ではありません。不動産業者に仲介を依頼するよりストレートなやり取りができると考えて試みる人もいるようです。

自身の所有する土地を売却したいと考えた時に、その相手が親しい間柄であった場合、わざわざ不動産業者へ仲介を頼む手間や仲介手数料のような費用もかかること無くできるのなら、こんなに楽なことはないでしょう。個人間売買を検討するのはそんな時なのではないでしょうか。

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不動産個人売買の2つのメリット

不動産の個人売買を選択する理由にはどんなものがあるでしょうか。わざわざ不動産業者を介さずに行うだけの利点があるからこそ個人売買をする人はいるのです。まずは以下にメリットを上げていきます。

1.手数料や税金など費用の節約ができる

不動産業者を介さないので、本来必要となる仲介手数料が不要となることが一番のメリットではないでしょうか。不動産会社に仲介を頼む場合、売主買主の双方がそれぞれ売買価格の3%+6万円+消費税を上限とする仲介手数料を支払わなければなりません。この支払いが必要なく、売った土地の価格をそのまま手にできるのは大きなメリットといえるでしょう。

2.自由な売買活動ができる

売主と買主の関係性や事情に合わせて当人同士で自由に取り決めできます。契約書の内容も自由、極端な話をすれば契約書がなくても構いません。

打ち合わせや契約にも不動産会社に出向く必要はありませんし、時間も有効に使えます。親族や親しい友人との契約であれば、お互い気兼ねなく内容について話を詰められて、互いにとってもメリットの大きい契約となることでしょう。

不動産個人売買の3つのデメリット

反面、やはり不動産は高額ですので、いくら親しい間柄でのやり取りといっても互いの認識の擦り合わせがうまく行かずに思わぬトラブルに発展する可能性も高いです。インターネットなどで知り合った相手との取引であれば尚のことです。また、本来であれば不動産業者が行うような専門的な仕事なども売主自身が行わなければならず、そのために拘束される時間はかなりのものになります。以下に個人間売買のデメリットをあげます。

1.そもそも売れない可能性がある

親族や友人知人など売却の相手が決まっている場合はよいのですが、そうでない人にとってはまずは買い手をさがすところから始めなければなりません。衣服などの個人売買はかなり普及してきていますが、一般の不動産会社のサイトには個人売買の情報は載せられません。不動産個人売買のサイトも出てきてはいますがまだ実績は少ないようです。昔ながらの手法でビラ配りなどを行うことも、コストや手間などがかかり現実的ではありません。

2.契約書の作成など膨大な時間と手間がかかる

買い手を探すまでもかなりの時間を要することが予測されますが、不動産会社に頼めばすぐに一揃いを準備してもらえるであろう資料や書類なども自身で準備手配しなければならず、時間と手間が相当かかるであろうことは覚悟したほうがよいでしょう。

買い手候補に現場の内覧などを行うのも売主本人が行うことになります。買い手候補が現れるたびに時間を擦り合わせ顔合わせなどを行うのも大変なことです。

手間1.契約書の作成

売買契約書や重要事項説明書などの書類もすべて自身で作成しなければなりません。書類の雛形はインターネットサイトなどで公開されているので、当てはめて書いていけば作ることはできるでしょう。しかしその書類に書く内容についても自身で交渉しなければなりません。売買契約書には売買物件の場所を明示することと、売買代金や手付金に関すること、所有権移転と物件の引き渡しに関すること、抵当権や固定資産税など金銭面、契約不履行の際の取り決め、瑕疵担保責任に関すること…など多岐にわたります。

手間2.必要となる書類集め

不動産の個人売買に必要な書類も多くあります。登記済証または登記識別情報、印鑑証明書、建築確認通知書、固定資産税納付書、本人確認書類、さらに実印と印紙代が必要になります。

3.当事者間のトラブルが起きやすい

できるだけ高く売りたい売主とできるだけ安く買いたい買主…売却金額においてのトラブルは売主と買主が直接やり取りをする都合上最も起きやすいといえます。また物件についての認識違いで後から契約不適合が起きるケースなど、発生したトラブルはすべて当事者間で解決しなければなりません。

不動産個人売買の手順

不動産を個人間で売買する際のメリット・デメリットを把握した上で、個人売買の手順を以下で確認しましょう。不動産業者に依頼した場合、以下の手順にある内容はほぼ業者が請け負ってくれます。

1.相場を調べ、売却価格を決定する

まずは売りたい物件、土地の価格相場をしっかり調べ把握することです。近くの土地で実際に成立した取引価格は、国土交通省が提供する不動産情報ライブラリ(旧・土地総合情報システム)にて調べられます。

売却価格は、買主と相談し両者納得の行く価格を決定することもありますが、基本的には価格相場を参考に売主が価格を設定します。相手からの値引き交渉に備えてやや高めの価格設定にするとよいですが、あまり相場よりも高く設定してしまうと買い主に不信感を抱かせてしまいかねませんので注意しましょう。また価格が安すぎると贈与税が課せられてしまう場合があります。

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2.書類・資料の準備

土地の売買には権利関係の書類や身分証明書など多くの書類が必要となります。土地の所有者を証明する登記済権利証、土地の面積や境界を測量した結果が記されている地積測量図や境界確認書、固定資産税納税通知書、登記に使われている印鑑が実印であることを証明する印鑑証明などです。

3.買主を探す

信頼できる買主を探すためには、まず親族や友人知人といった身近な人から見つけてみるとよいでしょう。不動産取引を行う人の中にはお金をだまし取ろうと考えるような人もいます。親しい人が相手であれば信頼も置けますし、交渉も円滑に進むことでしょう。広く一般に買い主を募集したければ個人売買のポータルサイトを利用します。

4.売買契約を結ぶ

買い主が見つかったら、売買契約を結びましょう。事前に必ず準備しておかなければならないのは契約書と重要事項説明書です。

重要事項説明書には物件についての説明とさらに、法令上の制限について・土地と道路の関係について・インフラ整備について・敷地や建物の状態について・代金以外に必要な金銭について・契約解除について・保険加入について、以上の説明を記す必要があります。

5.土地を引き渡す

無事売買契約が締結されたら、代金の決済を行います。そして物件の引き渡しとなります。可能であれば司法書士の立ち会いのもと決済を行い、領収書の発行の後所有権移転登記手続きまで済ませてしまうのが確実です。

代金が振り込まれる銀行で立ち会ってもらうことで振り込まれた金額もすぐに確認でき無用なトラブルを回避できます。

6.瑕疵担保責任について

瑕疵担保責任とは、物件の購入時点では気が付かない隠れた欠陥(瑕疵)が売買契約後に発覚した場合に売主が負う責任のことです。

見つかった場合には、売主が欠陥を修復することになっています。売買契約を結ぶ前にあらかじめ、どのような欠陥を・売却後いつまでの期間の責任を負うのかをはっきり取り決めて、瑕疵担保責任について必ず契約書に盛り込むようにしましょう。

土地の個人売買は可能ではあるがリスクも高い!よく検討して決断を

土地の個人間での売買は法的にも問題なく行えますが、契約書の作成や必要となる資料や書類を収集することなど大変手間がかかります。

さらには買主を探すこと、見つかった後も当人同士での価格の交渉などハードなやり取りも多く、不動産業者を介さないことのメリットと比較してもリスクが高い事業であると考えられます。

親しい人によく知っている土地を売却するなど、相手も目的もはっきりした状況でない限りは控えたほうが無難かもしれません。不動産業者は数多くの経験からさまざまなノウハウを持っていますので、やはりプロに任せることが不動産取引にとっては、売主買主双方にとっても安心です。

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