制限行為能力者との不動産取引における注意点と解決方法【2024年最新版】

「制限行為能力者」という言葉をご存知でしょうか?

日常生活ではあまり耳にしない言葉ですが、不動産取引においては注意が必要です。内容次第によっては、一度締結した契約が白紙になってしまうリスクがあるからです。

制限行為能力者と不動産取引をする際はどこに注意すべきなのか?さっそく見ていきましょう。

制限行為能力者の4タイプ

制限行為能力者とは、判断能力に問題があったり、経験が乏しかったりすることにより、ある行為(特に法律行為)を制限されている人のことを指します。大きく分類すると次の4タイプに分かれます。

  1. 未成年者
  2. 成年被後見人
  3. 被保佐人
  4. 被補助人

それぞれの制限行為能力者の定義を説明します。

タイプ1. 未成年者

20歳未満の方です。例外として、婚姻した男女は20歳未満でも成人とみなされます。また、一度婚姻をすれば、離婚したとしても成年者とみなされます。

なお、保護者(法定代理人)は通常、親権者になります。

タイプ2. 成年被後見人

判断能力が常に欠けている状態の方をいいます。未成年者を除いた制限行為能力者の中で、1番状態が重いのが成年被後見人、次に被保佐人、最後に被補助人という順番です。

成年被後見人は、原則として単独で法律行為を行う事ができません。成年被後見人が単独で締結した不動産売買契約は後になって取り消しをすることができます。

なお、保護者の「成年後見人」は家庭裁判所により選任されます。

タイプ3. 被保佐人

判断能力が著しく不十分な方をいいます。

成年被後見人と比べると被保佐人が単独で法律行為を行える部分もありますが、不動産売買などは基本的に単独で行う事ができません。被保佐人が単独で締結した不動産売買契約は後になって取り消しをすることができます。

なお、保護者の「保佐人」は家庭裁判所により選任されます。

タイプ4. 被補助人

判断能力が不十分な方をいいます。

家庭裁判所の審判により、あらかじめ被補助人が単独で行える法律行為は定められています。不動産売買取引などの大きな金額が絡む法律行為は、単独で行えないように取り決めがなされている場合があります。

なお、保護者の「補助人」は家庭裁判所により選任されます。

以上の4タイプの制限行為能力者において、不動産取引上注意が必要なのは「被成年後見人」「被保佐人」「被補助人」です(不動産取引の相手方が高校生等の未成年というケースは滅多にないと思いますので割愛します)。

実際の不動産取引で見受けられる「判断能力を欠く」状態とは、一般的に高齢者が認知症などを患っている場合です。

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不動産取引の注意点

それでは実際の不動産売買取引において、相手方が制限行為能力者に該当する場合に発生するリスクとは何でしょうか?

それは、制限行為能力者が締結した契約は後になって無効、取り消しになってしまう場合があるということです。これは非常に大きなリスクです。

少子高齢化がどんどん進んでいる日本において、不動産取引の相手方が高齢者というケースはまったく珍しくありません。もちろん高齢の方すべてが認知症を患っているわけではありませんが、加齢とともに判断能力が劣ってしまうことは自然であり避けて通ることはできません。

では、制限行為能力者と不動産取引をすることになった際にはどのような対策をとればよいでしょうか?

解決策は非常にシンプルで、それぞれの保護者となる人(成年被後見人は成年後見人、被保佐人は保佐人、被補助人は補助人)の同意を得た上で契約を締結することです。

大手不動産仲介会社などでは、高齢者が不動産取引の当事者となる場合、営業担当者が契約前に意思能力の確認を行うなどの対策を取っています。後々になって制限行為能力を理由に契約が無効、取り消しとならないよう、しっかりと注意したうえで取引に臨みましょう。

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