売主も買主もまずは情報収集!
土地売買を行うためには仲介を依頼する不動産会社の選定や土地の価格が適正か判断するための調査、登記変更に関する書類の準備などさまざまな作業が必要です。
土地を売る場合は不動産会社から提示された査定金額が正しいかどうか判断するために周辺の土地価格の調査やほかの不動産会社にも査定を依頼するなど、情報収集が重要です。土地を買う場合は不動産会社に土地探しの仲介を依頼することになります。
土地は建築基準法や都市計画法で建物を建てる際の規制がかけられていることもあります。不動産会社から紹介された土地で希望通りの土地活用ができるか確認することが重要です。
必要書類を事前に準備
土地売買では不動産会社に仲介を依頼する際や売買契約締結、登記変更手続きの際などに土地の所有者であることを証明する権利証や本人確認書類、実印などが必要になります。
ほかにも地積測量図や隣地との境界を記した境界確認書も必要ですがこれらが手元にない場合、地積測量図については不動産会社に代行して法務局にて取得してもらうことが可能です。境界確認書は隣地の所有者との境界トラブルを避けるために重要な書類です。
過去の登記手続きの際に法務局に提出している可能性もありますので写しの交付が可能か相談してみましょう。これらの必要書類を事前に準備しておくとスムーズに進みますが不動産会社の指示を受けながら準備してもよいでしょう。
不動産情報サイトで土地価格を調査
周辺の土地がいくらで売りに出されているのか、売主自身も不動産情報サイトで調査が可能です。
目的とする土地と同じ程度の面積を持つ土地を検索することでおおよその取引価格がつかめます。土地は前面道路の幅員や私道負担の有無によって資産価値が変わるため、比較する場合は注意が必要です。
また、市場で売りに出されている価格と実際に取引が成立した価格とは違う場合があることにも注意しましょう。
売り出したばかりの土地は価格が高めに設定される傾向があり、長期に渡って売れ残っている土地は商談中に値引き交渉が行われる場合もあります。ほかにも坪単価やアピール文章など売却の際の参考になる情報が掲載されています。
土地売買の実績がある不動産会社を調査
土地売買において重要なポイントのひとつが仲介を依頼する不動産会社の選定です。
不動産会社は国から宅地建物取引業の免許を受けた宅建業者であり、多種多様な不動産取引を行えますが、不動産会社によって得意分野は違います。賃貸物件のオーナーから依頼を受けて借主を募集する賃貸管理を専門としている会社や、不動産の買取のみを行っている会社もあります。
そのような不動産会社に相談した場合は依頼を断られたり、系列の不動産会社を紹介されたりすることもあります。不動産会社のホームページや評判などを参考にして、土地売買の実績がある不動産会社を探しましょう。
売買契約に向けて準備!
仲介を依頼する不動産会社を決めたら売買契約に向けた活動が始まります。売主であれば土地査定を依頼して売却金額を決定します。
買主であれば希望に合う土地を市場から選別してもらいます。土地売買の話し合いが進行すると、不動産会社に支払う仲介手数料や契約期間などを取り決める媒介契約を結ぶ必要があります。
媒介契約書には中途解約の違約金の有無なども記載されますので、しっかり確認することが重要です。
媒介契約の締結は仲介手数料の支払いに合意する意思を示すことになります。そのため、土地売却であれば費用をかけた本格的な営業活動が行われる前に結ばれます。
売主は土地の査定を依頼
土地売却の際にはまず土地の価値を把握する査定が行われます。周辺の土地取引の成約事例や建築物の制限などを考慮して現実的に売却可能な価格を導き出します。
また、駅やバス停からの距離などの利便性によっても価値は変動します。査定により出された価格を元にして売却価格が決定されますが、売主の要望により売却価格を増減することも可能です。
時間がかかっても高く売りたい、価格を下げて早急に売りたいなどの要望があれば不動産会社の担当者と相談して納得する価格を設定しましょう。
市場に出して買主募集
売却価格が決まれば市場に出して買主の募集が始まります。媒介契約を結んでいれば全国の不動産会社が物件情報を閲覧できる指定流通機構への登録も可能になりますので活用しましょう。
媒介契約の形態が一般媒介の場合は指定流通機構への登録は義務化されていませんが、担当者に希望を伝えて登録してもらうことも可能です。不動産情報サイトへの広告掲載や現地看板の設置、周辺へのポスティングなどが主な営業活動になりますが、新聞に折込広告を出してほしいなど営業活動について要望があれば担当者に伝えましょう。
テレビCMなど多額の費用がかかる広告活動でも売主が別途費用を負担することで可能になります。
買主は条件に合う土地探しを依頼
買主として不動産会社に土地探しを依頼する場合は土地の使用目的を明確にする必要があります。
戸建ての建設が目的であれば地目が宅地であることや、建築制限の有無が重要視されます。また、その際は不動産会社選定の段階で戸建てに強いハウスメーカーを検討することも重要です。
ハウスメーカーにとって戸建てが建設可能な土地の確保は最重要事項のため、市場に出ていない未公開土地の情報を持っています。農業を行う場合は地目が農地である土地を探すことになりますが、都市計画法による市街化調整区域内の農地では倉庫や物置きの設置が禁止されていますので注意が必要です。
購入後に目的通りの使用ができない事態に陥らないように事前に使用目的を明確にしましょう。
契約前の現地見学は必須事項!
建物の内覧と同じように土地も売買契約締結前に現地見学が必要です。物件情報として掲載されている土地の写真でも雰囲気はつかめますが現地に足を運ぶことによって隣地との境界の様子などの細かな周辺環境を把握できます。
日当たりは宅地でも農地でも重要なポイントです。現地を見ずに購入することも可能ですが、所在地が遠方のため現地見学が難しいなどの理由がある場合は不動産会社に現地のチェックや写真撮影を行ってもらえないか相談してみましょう。
日当たりを確認
不動産情報サイトなどに掲載されている写真は日光が差す見栄えのよい時間帯に撮影されているため、現地見学をして実際の日照時間がどれくらいになるか確認する必要があります。
日影規制のある地域でも土地の一部がまったく日を浴びないという事態が発生します。日当たりは湿気や水はけにも関わるため、入念なチェックが必要です。
隣地との境界を確認
長期に渡って管理されていない状態が続いた土地は隣地との境界があいまいなまま放置されている恐れがあります。
家を建てる際に境界が問題になることは明らかですので、売買契約を結ぶ前に境界を証明する書類はあるか確認しましょう。売主も事前の境界確認は必要です。駐車場や外構の工事の際に境界杭が破損している恐れもあります。もし境界があいまいな状態になっていたら、土地家屋調査士に依頼して境界確定の測量を依頼しましょう。
測量には費用がかかりますが境界を確定することで土地の価値が上がり、買主側の懸念もなくなるため、契約が決まりやすくなります。隣地ではなく道路に面している部分の境界があいまいな場合は道路を管理している役所の担当課に連絡し、境界を証明する書類をもらえないか相談してみましょう。
購入が決まればいよいよ売買契約!
現地見学も済み、土地の購入を決心したらいよいよ契約です。まずは不動産会社を通して購入申込書を売主に送ります。値引き交渉はこのタイミングで行いましょう。
市場に出したばかりの土地はまだまだ購入希望者の登場が見込めるため、値引き交渉は難航しますが長く売れ残っている土地は値引きに応じてくれる場合があります。売主は購入の申込みを受けても、過剰な値引き交渉や造成工事代金の負担を求められるなど買主との信頼関係に不安が生まれたら売主の判断で購入を断れます。
不動産会社のサポートを受けながら慎重に契約を進めましょう。売買契約締結後、決済と登記変更手続きが済んだところで土地売買の完了です。
土地売買の流れを知ってしっかり準備!
土地売買は高額な取引になるため、市場のチェックから不動産会社の選定、売買契約に至るまで入念な準備が必要です。
売買後に費用負担の取り決めや重要事項の説明不足などでトラブルが起こらないよう、手厚いサポートを提供してくれる不動産会社を見つけることが成功の鍵です。土地の売り方、買い方を熟知して土地売買を円滑に進めましょう。