不動産査定とは、不動産の価値を評価し、売却時に参考となる売却予想価格を、不動産会社に提示してもらうことです。
- 街のイメージで買って住んでみたら思ったよりも利便性が悪く手放したい人
- 子供の環境を変えるために、家を売りたくなった人
- 相続した別荘は行かないし、管理費が高いので売りたい人
- 収入が減り、住宅ローンの返済がしんどいので賃貸に住み替えたい人
- 値上がりするという口車に乗って投資用不動産を買ったが、空室が多く損切りしたい人
など、不動産の査定をしたい人の状況はさまざまです。
ただ、はじめて不動産の見積もりを依頼するときに
- どこに査定依頼をしたらいいのかわからない
- 査定時によく見られる項目や、価格に影響する要素を知りたい
- 高値で売却するコツがあれば知りたい
などでお悩みの方が多いです。
そこで売却成功につなげるための無料査定の種類や、査定に必要な書類、査定価格に影響を与える要素を解説します。ぜひ納得の価格で売却できるように、適正な査定から始めましょう。
不動産査定とは?査定方法は3つ
不動産の査定価格は次の3つの方法で算出します。
- 原価方式:その不動産を再調達する場合の原価を求め、築年数に応じて価格を修正する
- 比較方式:多数の取引事例を収集して適切な事例の選択し、必要に応じて価格補正をし、さらに地域要因や個別要因を比較する
- 収益方式:その不動産が将来生みだすと期待される純収益の現在価値の総和を求める
詳しくは次の記事をご覧ください。
3つの無料査定と有料査定を比較
まず疑問に思う方も多いと思いますが、不動産の査定は不動産仲介業者の営業活動の一環なので、無料で査定してもらえます。無料査定には、AI査定と机上査定、訪問査定の3つがあります。
- AI査定:不動産の情報をWeb上で入力するだけで、すぐに見積もりが表示される(例.HowMa など)
- 机上査定:不動産会社が自宅に訪問することなく、不動産の情報を渡すと、数日で見積もりをもらえる。AI査定と比べると、不動産会社の経験や情報に基づき、見積もりの説明をしてもらえる
- 訪問査定:不動産がある現地に不動産会社が赴き、調査をした上で見積もりをもらえる。机上査定よりも精度が高い
上記の3つは価格に対しての法的な責任はなく、調査方法・査定方法は不動産会社によって様々です。
一方、もし相続や離婚などで公的な価格根拠の説明が必要な場合は、不動産鑑定士に査定を依頼します。
- 評価鑑定:相続や離婚時の財産分与のために不動産の価値を知りたいときには、不動産鑑定士に公的機関で使用できる「不動産鑑定評価書」を依頼するのが一般的。費用は20万円以上かかる
では、それぞれについて簡単に説明します。
無料査定1:Web上で完結するAI査定
AI査定サービスは不動産の情報をWeb上で入力するだけで、すぐに見積もりが表示されます。
AI査定に懐疑的な筆者が実際の祖父母宅2つをAI査定してみた
全く売る気のない物件の価値を知っても意味がないので、私の祖父母宅2つをAI査定してみました。まずは祖父母が亡くなってから1年ほど空き家状態の京都市の戸建て①です。長男である父が所有者になっていますが、親族は京都周辺には住んでいないので今年中くらいで売却したいと思っています。
もう1つは、認知症が進み、デイケアに通っている祖父母が住んでいる岡山市の戸建て②です。祖父母が亡くなったら空き家になるので、10〜20年後には売却する予定です。
現在私は東京に住んでおり、両親は岡山市内在住ですが、祖父母宅とは別の地域に住んでいます。そのため戸建て①・戸建て②の住所や間取りは知っていますが、築年数や土地の大きさは両親に聞いてもすぐには分からない状況です。
今回は、弊社が提供するHowMaともうひとつ他社が提供するAI査定を試してみます。HowMaのAI査定では次の5つの質問に答えていきます。
- 物件の種類(土地・戸建て・マンション)を選択
- 住所を入力
- 建築年(築年数)を選択
- 土地や建物の大きさがわからないので、次の3つを選択して、土地と建物の面積の概要を自動計算
- 間取り
- 何階建
- 土地に対して建物はどのくらいを占めているか
- 建物の状態(居住中・賃貸中・空き家)を選択
この程度の質問なら、遠方の家でも手軽に資産価値を把握できます。しかも不動産会社が運営するサービスでなければ(HowMaなど)、営業電話がかかって来る心配も無いので、戸建て②のような今すぐには売却しない不動産の価値を知るにはAI査定がいいと思いました。
無料査定2:不動産会社にアプローチして机上査定
戸建て①・戸建て②どちらも首都圏ほど住宅が多い地域ではありません。地域の治安や環境も査定価格に反映するのは、AIには難しいでしょう。そこで不動産会社の方の知見や意見を聞きたく、机上査定をお願いしてみました。
弊社が提供するHowMaのコラボ査定と、もうひとつ査定一括サイトから複数社に机上査定を依頼してみます。コラボ査定では次の7つの質問を選択すると机上査定を依頼できます。
- 物件との関係(所有者、所有者の親族・親戚、相続予定、その他)
- 物件の状態(居住中、賃貸中、空き家)
- 売却について検討する理由(住み替え、物件を相続したため、住宅ローンの返済が厳しい、不要物件の処分、離婚、転勤、所有者が高齢、その他)
- 売却希望時期(今すぐ、3ヶ月以内、6ヶ月以内、1年以内)
- 査定方法(訪問査定、机上査定)
- 査定担当者へのご要望・ご連絡
- 連絡先
今回は2つの査定一括サービスから依頼を比較したところ、コラボ査定は物件がある地域に強いHowMaおすすめの不動産会社の中から、自分で査定依頼したい不動産会社を選べるのがいいなと思いました。
知り合いの不動産会社以外で6社に査定をお願いしたい場合や、不動産会社のホームページや口コミを確認した上で不動産会社を選びたい方には便利な機能だと感じました。
また査定一括サービスは、各不動産会社から営業電話がかかってきて、何度も同じような内容を説明するのが手間だ、という意見をSNSで見ました。
そこで、「査定担当者へのご要望・ご連絡」の欄に「仕事があるので、連絡は電話やSMSよりも、メールやチャットにして欲しい」と記載してみました。すると不動産会社からの同じような質問への回答も苦ではなく、しかも家族と返信内容を確認しながら進められたので、とても安心できました。
無料査定3:不動産の個性も反映できる訪問査定
戸建て①・戸建て②どちらも南向きに大きな庭があり、日当たりがとてもいいです。さらに戸建て②は30年ほど前に増築し、4年前に水回りをリフォームしました。
築50年なので建物の価値はないかもしれませんが、隣家との境界や、増・改築の状況、設備の老朽具合、登記簿の更新漏れがないかを査定価格に反映するのはAI査定や机上査定では難しいです。
訪問査定は、机上査定の調査項目の他にも、
- 物件の痛み具合
- 設備・機器の不具合や交換履歴
- 日当たりや眺望
- 騒音や振動・悪臭がないか
- 前面道路幅
- 室内のリフォームや増改築の状況
- 傷んだ箇所や不具合の状況
- 土地や建物の傾斜
- 戸建の場合は境界線
- 登記簿や公図・建物図面などと物件の実態が一致しているか
- ガスや上下水道などのインフラ設備が使える状態か
- 権利関係
などを調査します。
もしマンションを査定する場合は、マンションの共用部分の管理の状態や管理規約も調査します。
不動産を購入する人が、引渡し後に聞いていた話と違う!と驚かないように、訪問査定ではより細かく様々な角度から調査をします。今すぐ不動産を売りたい人は、不動産の個性や状況も織り込んだ査定価格を訪問査定で知ることで、売り出し価格を決めやすくなります。
有料査定:不動産鑑定士に依頼する評価鑑定
有料の査定を「評価鑑定」と呼び、不動産鑑定士という国家資格がある専門家に依頼します。
評価鑑定は主に次のような場合に、説得力のある資料として「不動産鑑定評価書」を活用します。なお、不動産鑑定評価書を作成するためには20万円以上費用がかかります。
- 第三者に対して不動産の価値の妥当性を説明する時
- 例えば相続税の計算根拠を税務署に提出する時や、離婚調停や訴訟で裁判所に説明する時など
- 株主への説明資料、社内稟議、決済資料として不動産の時価を把握する時
- 経営戦略を立てるための基礎資料が必要な時
- 不動産を担保に、金融機関と融資を交渉をする時
- 地代・家賃の新規設定や改定の場合交渉をしたい時
- 同族法人や親族など利害関係者間の不動産売買の時
もし、どの査定が自分にとって最適なのか迷った場合は、
- まだ売り始めないが、いずれ売るために相場を把握したい場合は「AI査定」を試す
- 納得できる金額なら売りたい場合は不動産会社に「訪問査定」を依頼
- 不動産の価値の妥当性を示す必要がある場合は不動産鑑定士に「不動産鑑定評価書」を依頼
をお勧めします。
査定額に重要な影響が出る4つの決定的な要素
訪問査定では、建物の外装から土地の状況、周辺環境も細かく調査します。その不動産を買う人(その地域に引っ越してくる人)が求める事情に合っているのか、どんなアピールができるのかを不動産会社が考えて、査定金額を算出します。
不動産会社が査定額を算出するために、次の4つのポイントを確認します。
- 建物の状態:建物の築年数や設備、間取りなど
- 土地の状態:土地の形状や接道状況、権利関係、立地や交通アクセスなど
- 一般的要因:社会情勢、国内外の経済状況、自然要因
- 地域要因:景観、街並み、治安などの環境の良しあし
ポイント1.建物の状態
建物の状態は、主に次の5つの項目を確認します。
- 築年数(新耐震基準適合住宅か)
- 設備の状態、不具合の有無
- 部屋数・間取り
- 建物の内装・外装の損傷がないか(シロアリ被害、雨漏りなど)
- 駐車場がある
中古住宅の購入希望者は、不具合や損傷の程度を把握しておかないと、購入後に修理が必要なのか、何年後にどのくらいの修理費用がかかりそうか見通すことができません。そのため、上記のような設備や内装・外装の傷みを把握しておく必要があります。
1982年以降に建築された新耐震基準適合住宅の場合は、住宅ローン控除の適用対象になる可能性があるので、アピールポイントになります。
ポイント2.土地の状態
土地の状態とは、主に次の11の項目を確認します。
- 土地の形状(長方形、台形、三角)
- 土地の高低差
- 土地の面積
- 方位(南向きか)
- 日当たりがいいか
- 境界・越境の状態が明確か
- 公道に接しているか
- 前面道路の道幅は4m以上か
- 再建築不可物件ではないか
- 土地を所有しているか、借地か
- 地質や地盤、地勢など
戸建ての場合、隣家や利害関係者とのトラブルが無いか、道幅や間口が狭くないかは、価格に大きく影響します。机上査定では役所から取り寄せられる書類で判断するしかありません。しかし訪問調査の場合は役所から取り寄せた複数の書類を見比べて、整合しない点や疑問点を現地で確認します。
ポイント3.一般的要因
一般要因とは、社会情勢の変化に伴って変動し、不動産価格の全体的な水準を左右します。一般要因には次の4つの要因があります。
- 自然的要因:都心へのアクセス、災害リスク、気候など
- 社会的要因:人口の増減(不動産の需要)や、核家族化、生活様式の変化(テレワーク推進など)など
- 経済的要因:物価、増税・納税控除など
- 行政的要因:土地利用・建物の計画や規制、防災等に関する規制など
立地や都心部へのアクセスの良さは、例えば新聞折込チラシで「東京駅まで乗り換えなしで30分!!」などの見出しを一度は見たことがあると思います。査定価格は、売り出す時にアピールポイントになるプラス要因が多いほど高くなります。
一般的に、築年が古いほど建物の市場価値は低くなります。国土交通省の中古住宅流通、リフォーム市場の現状によると、市場を無視して減価償却だけで考えると、木造戸建て住宅は22年、マンションは47年で建物の価値がゼロになります。つまり戸建ての価値は、土地の価値と等しくなります。
しかし実際には、都市部では人口が増えて需要が高いため、築30年超の木造戸建てでも、土地の価格より高く取引される可能性はあります。
またテレワーク推進によって、郊外の物件が人気になったり、書斎を必要とする人が増えるなど、人気の立地や間取りも変化します。他にも日銀のマイナス金利政策解除までに買い急ぐ人もいるかもしれません。
ポイント4.地域要因
地域要因とは、つまり周辺環境に関することです。主に4つの項目があります。
- 周辺施設(商業施設・学校・病院・避難所)との距離
- 学区の評判
- 将来開発が予定されている地域(新しい駅や商業施設が建設される等)か
- 災害の危険性が低い
ファミリー向けの不動産の場合は特に、学区の評判が良いか、治安がいいかなどの地元の人しかわからない情報がとても大切です。
また国土交通省の調査結果にもあるとおり、駅がない街は人口減少のスピードは高い傾向にあります。つまり駅の廃業・開業予定は、街の将来的な人口にも影響を与えます。
他にも近年地震が増えていることから、不動産を買うときにハザードマップを見て、より安全な場所を選択する人が増えています。
これらの4つのポイントが複雑に絡み合い、不動産の市場価値は日々変化しています。
HowMaが考える、不動産を高値で売却する3つの鉄則
不動産をより高値で売却するにはどうすればいいでしょうか?先ほど説明した4つのポイントをまとめると、次の3つの視点が必要です。
- 値下げを加味しつつ、適正な売却価格を設定する
- 購入希望者の目線・立場で考える
- 市場の動向を踏まえ、最適なタイミングで売る
値下げを加味しつつ、適正な売却価格を設定する
複数の不動産会社に査定を依頼することで、どのくらいの価格なら売れやすいのか相場感が分かります。そして同じ地域の取引事例や、不動産会社の経験・地域の事情を聞き、売却価格を設定します。
この時、住宅ローンが残っている場合は返済金額や、値下げ交渉された場合のシミュレーションも行っておきます。
購入希望者の目線・立場で考える
不動産を売るためには、購入希望者が必要です。つまり購入希望者が、何を求めているのか、どんなことを気にするのかを常に考えなくてはなりません。
例えば掲載する写真やアピール文章を工夫したり、値段を下げるだけでは内覧希望数は増えません。不動産を購入希望者が見るのは、不動産ポータルサイトなのか、新聞広告なのか、最寄駅前の不動産会社の張り紙なのか、SNSなのか。様々な宣伝方法でまずは見つけてもらう必要があります。
そして購入希望者に「部屋を見てみたい」と思ってもらえるように、周辺の施設情報や最寄駅から物件までのアクセス情報など、付加価値となる情報を追加しましょう。
付加価値を与えるために効果的な施策の1つとして、専門家による住宅検査のインスペクションがあります。検査方法や検査箇所によりますが、5〜10万ほどの費用がかかります。
しかし購入希望者にとっては、不動産会社や売主とは違う第三者が検査を行い、安全だと太鼓判をもらえるのは安心です。さらに中古の家の状態を知ることで、修繕費用を明確に把握でき、購入後のリフォーム計画を立てやすくなります。
市場の動向を踏まえ、最適なタイミングで売る
売り出し金額を決めたり、購入希望者の目線での宣伝広告も大切ですが、いつ売り始めるのかは重要です。
なぜならリーマンショックのように世界的に景気が悪化したタイミングで売ると、高く売ることは難しいからです。HowMaのAI査定を一度試すだけで、デフォルトで毎週、家の価値更新情報をLINEやメールでお知らせしてもらえます。
損をしないためには、売り時を見逃さないように情報収集が肝になります。
不動産会社の一括査定で不動産を比較しよう!HowMaコラボ査定は物件オーナーが売却価格を決めやすい理由
近年、AI査定や不動産一括査定サイトは増えています。しかしHowMaのコラボ査定は次の5つが違います!
HowMaのコラボ査定を使う5つのメリット
- 1億件以上の取引データを分析できる「AI査定」に加え、不動産会社の「プロ」の目線の査定を組み合わせることにより、価格や戦略を決めやすい
- 業界大手の不動産仲介会社出身の宅建士がチャットで、買主・不動産会社とは違う第三者の立場から無料サポートをしてくれる
- 提携している不動産会社は地域密着型や、登録した物件がある地域での売却実績が多い実力派の会社が多く、AIだけではわからない肌感の高い査定が見られる
- 最新の相場情報や、周辺の取引事例をAIが常に収集しているので、査定金額に変動があったらメールやLINEで知らせてくれる
- グループチャット機能を使うと、複数の不動産会社に一括で連絡をできる
HowMaのコラボ査定をおすすめできない2つのケース
HowMaは成長中のサービスのため、次のような方には向いていません。
- 収益物件(投資用一棟アパートや商業ビルなど)や農地、リースバックの査定をしたい人
- 弁護士や税理士への相談も一箇所で行いたい人
まとめ:不動産査定は売却成功の鍵を握る重要なプロセス
今回は無料の査定と有料の査定の違い、査定額に影響を与える4つの要因、不動産を高値で売る3つのコツについて解説しました。
「早く売りたい」「時間がかかっても高く売りたい」など目的を達成するためには、適切な不動産会社を選ぶ必要があります。そのために、まずは不動産の査定でどのくらい価値があるのかを把握した上で、各不動産会社が説明する査定価格の根拠を聞いてみましょう。