もしあなたがなかなか売りづらい物件、例えば築年数が古い戸建てやマンション、あまり良いとは言えない立地の不動産を所有しているのであれば、その処分に困ることもあるでしょう。住むこともなく、賃貸に出しても全く人が入らない状態で不動産物件を所有していても、毎年固定資産税と都市計画税の出費が増えるだけであり、資産ではなく完全な負債になってしまいます。
そこでなかなか売りづらくリスクがある物件を処分する時には、どういった売り出し方をすべきなのか、その点を考えてみましょう。
リスクのある物件は安いからといって売れるものではない
不動産市場において現在空き家が売り出されるケースは非常に増えています。そのため簡単に空き家が売れる時代は終わりました。すでに日本にある住宅の件数は日本の総世帯数を上回っており、家余りの時代が続いています。
さらにその傾向に拍車をかける要素として、日本では地方を中心に人口減少と過疎化が拡大する流れもあります。十分な住宅数が供給されているので安いからといって、あえて築年数が古く不便な場所に家を買う人は少ないのです。
さらに築年数の古い物件であれば、見えないところでシロアリ被害などの瑕疵があったり、また老朽化した設備の不具合も起こったりします。せっかく買った住宅なのに不具合があっても、すぐに買い直すせる人は少ないでしょう。
そのため築年数や場所の問題でリスクが考えられる物件は、価格を安くしただけでもなかなか売りづらい状況なのです。
リスクを承知している人間ならば売れる可能性がある
ではリスクがある物件を一般の人は買わないとしたら、どういった人ならば買ってくれるでしょうか。
それは住宅にはリスクがあるものと最初から承知している人間、つまり不動産業者や投資家です。
普通の人は何度も家を買って売却するような、転売を前提にした行動を取りません。家を買ったらその家に住み続け、できれば終の棲家にしたいという人が多いのが現状です。
しかし不動産投資家であれば、格安の物件を購入しそれをリフォームした上で転売して利益を出す、もしくは賃貸に出して家賃収入を得ることを目的とした行動を取ります。中古物件には必ずリスクが潜むものであり、そしてリスクがある分価格を安くしてもらえばよい、さらに自分で十分にリスクを検討した上で、リスクがなくせる対策を取れる人間であれば、リスクのある家でも売れる可能性が高くなるのです。
古い物件を売りに出す時には、建直しや取り壊し前提、もしくはリスクは承知で自分でリフォームやリノベーションできる人に売り出してみましょう。またリノベーション業者の斡旋をつけた上で売りに出すのもよいでしょう。
リフォーム前提で売り出すことで、利回り重視の投資家に売れる
具体的な売り出し方としては、まず価格を安くした上で、物件に「リフォーム必須」などの見出しをつけて売りに出します。そうすればリフォーム好きな投資家の目にも付き、自分でリフォームをすることを前提に格安物件として購入先の選択肢に加えてくれます。
特にリフォームに慣れている人は、リフォーム業者に依頼するのではなく、自分でリフォームして格安で家を新築同様に再生する人もいます。そのような人にとっては、売りづらい物件こそが、まさに購入の狙い目になっています。
売りづらい物件だけれども何とか人に買ってほしいので、リフォーム前提に安く売り出すという売主の狙いと、格安の物件だからこそ高い利回りを得やすいという買い手の思惑が一致すればリスクのある物件でも充分売ることができるでしょう。
最初からできれば高く売りたいという考えは捨て、リフォーム前提に「この家はこのままでは使い物になりません」という旨を伝えた上で売りに出せば、リスクがある物件だけを狙っている投資家の目に付きやすくなります。家のリスクを最初から承知している人間なので、購入した後にこの物件には問題があるというクレームが来る可能性も非常に低いです。その意味では投資家は決断も早く、クレームも少ないため顧客としては上客と言えるのです。
もちろん売却に出す際には不動産会社との相談も必要ですし、一緒に売るための対策を考えなくてはいけません。柔軟な売り方も行っていくためには、自分の中でどんな物件でも必ず相場以下では売りたくない、といった考えは捨てて「売りづらい家が早めに売れる」「そのままでは売れない家を現金化できる」というメリットを織り込んで自分の中での売るための方策を探っていきましょう。
不動産投資家の数は、IT技術の発達で不動産の情報が気軽に手に入るようになったこともあり、どんどん増えています。そのため自分が住むための住宅を欲しいと言う層よりも、不動産投資家向けに最初から売却対策を取っていた方が、結果的には自分のメリットになることも多いのです。