マンションを売却する時に、近隣の人間関係の告知義務はあるのか?

マンションを売却する時に、近隣の人間関係の告知義務はあるのか?

マンションを売りたいと思う事情は人それぞれのものがあるでしょう。

単純に引っ越したい、仕事の都合で引っ越しをしなければいけない、家庭の事情で移り住む必要がある。

大抵の人はこういったケースになります。

しかし中には近隣の住民とうまくいかない、人間関係で孤立をしたので、住みづらくなった。

さらには近所にあまり関わりを持ちたくない人がいるなどの理由で引っ越しをすることもあります。

そのような理由で不動産を売却するときに、住人同士の問題を告知する必要はあるのでしょうか。

心理的瑕疵物件の明確な範囲はない

まずこういった人間の心理として住みづらくなったなどの理由は心理的瑕疵物件扱いになります。

心理的瑕疵物件というと、事故物件などを含んでその物件で殺人事件があった、自殺があった、火災などがあったというケースを考える人が多いです。

しかし心理的瑕疵というのは、言ってしまえば「人が嫌がること」すべてを含みます。

多いものとしては近隣に葬式場や墓場がある、パチンコ屋がある、人によっては子供が多い場所はうるさいので嫌だということで、幼稚園や小学校が心理的瑕疵になることもあります。

小学校などは治安が良い場所にあるので、好む人も多いのですが、ケースによっては何でも心理的瑕疵になる可能性がある、ということになります。

そのため明確に「ここまでは心理的瑕疵物件で、ここからは心理的瑕疵物件ではない」という基準はありません。

とにかく気になりそうなことは、不動産会社にも買い主にも告知をするというケースも多くなっています。

トラブルは個人の関係によるものであれば問題はない

一方で心理的瑕疵物件に、近隣の人間が含まれるのかというと、特に告知をしなくても問題ないケースも多いです。

それは住人の問題は、人と人との関係性で発生することが非常に多いからです。

設備や環境などの問題は、誰が住んでいても起こり得るものであり、それを気にしないか、不快に感じるかという部分で心理的瑕疵が発生してきます。

しかしAさんとBさんが住んでいて、単純に馬が合わない、なんとなく気に入らないといった原因で問題が起きていた場合は、Aさんが引っ越しをしてCさんがBさんの隣人になれば全く問題がなくなることもあります。

好き好んで最初からトラブルを起こす人も普通はいませんから、単純に個人間の問題でトラブルになっていたのであれば、特に申告をする必要はないと考えられます。

明らかに近隣の住人に問題がある場合は告知が必要

一方で先程「好きこのんでトラブルを起こす人はいない」と書きましたが、まれに人にトラブルを持ちかけることに抵抗がない人もいます。

例えば、隣人に対して大声をあげる人、ゴミ屋敷状態で臭気などの悪影響を周囲に及ぼす人、猫や犬などをたくさん飼っていて、糞尿や鳴き声、その他に様々な衛生的な問題のある家など、心理的瑕疵が起こるようなことが容易に想像できるケースもあります。

物件や環境による問題ではなく、トラブルの発生源が明らかに隣人自体にある場合は、告知をしておかないと後々問題になる可能性が非常に高いです。

自分が周囲の人を理由に引っ越したいと思うのであれば、他の人もそう思う可能性は高く、自分に責任がなくても引っ越しをしなければいけない、物件も割引をしないと売れないということがあります。明らかに隣人に非がある場合は、マンションならば管理組合に伝えて改善を要求できますし、ゴミ屋敷やペット屋敷などの場合は役所に連絡し、改善を要求してみましょう。

範囲がないだけに告知しておくことが無難

家を売って新生活を楽しんでいるのに「実際に住んでみたら、特に告知されず知らなかった問題があった。今更住み替えもできないので損害の賠償を要求したい」と言われるのは非常に精神的な苦痛になりますし、経済的にも大きな打撃になることがあります。

当然買主からすれば、問題を隠していた売り主に非がある、自分に全く非はない、自分は被害者であるという意識になるので、多少の謝罪では簡単に納得をしてくれないでしょう。

このような後々のトラブルの火種を無くすには、少しでも気になることがいるかもしれない要素は前もって率直に不動産会社や内覧時に買主に伝えるようにしましょう。

不動産会社に聞けば、どういった部分が問題になりやすいのか、この周辺にはどんな忌み嫌われる施設があるなどの、問題点を前もって指摘してくれますし、査定の際には家の中をチェックして自分でもなかなか気づかない問題箇所を発見してくれるでしょう。

マンションや戸建てを売却する時に、査定する時に、事前の査定は大変重要ですが、必ずしも高値をつけるだけではない、問題箇所、心理的瑕疵をしっかり指摘してくれる営業マンを見つければ、後のトラブルを未然に防げます。