オーナーチェンジとは入居者がいる収益物件を売買すること
オーナーチェンジ物件とは、入居している状態で売買される収益物件です。賃貸契約を結んだまま、物件を所有するオーナー(賃貸人)が変わるのでオーナーチェンジと呼ばれます。
入居者(貸借人)は、オーナーが変わってもそのまま部屋に住み続けられるので特に変更はありません。住居人が誰もいない場合はオーナーチェンジとは呼ばず、一般的な不動産投資と同じ扱いになります。
オーナーチェンジ物件は、入居している状態の物件を売買するため、最初から投資用に物件を準備するよりも手軽でメリットも多く、不動産投資を考えている人から人気です。しかし家賃を受け取る貸主の権利とともに、敷金返還義務や修繕義務等の貸主の義務も引き継がれるので、マイホームの売買より難易度が高いです。
そこで本記事では、オーナーチェンジ物件を売買するメリット・デメリットと、注意点を説明します。
オーナーチェンジ物件の2つのメリット
オーナーチェンジ物件を購入するメリットは2つあります。
- 入居してもらうまでの手間・費用が不要
- 所有した日からすぐに家賃収入を得られる
1. 入居してもらうまでの手間・費用が不要
通常の不動産投資を行う場合、どんな場所のどのくらいの規模の物件を所有するか、家賃をいくらに設定するか、賃貸借契約内容を決めて書類を作成する、入居者を募集したり入居希望者の審査をしたりと、さまざまなことをオーナーとして行わなければいけません。
しかしオーナーチェンジ物件なら、すでにこれらのことは構築されていて入居者がいるので新たに行う必要はありません。
また入居しているためにリフォームやクリーニングを行う必要がないので初期費用も抑えられます。入居者がいる不動産を購入する際は、賃借権で自己使用の制限を受けるので空き家物件を購入するよりも安い費用で所有できます。
手間や時間をかけずに不動産投資ができる物件といえるでしょう。
2. 所有した日からすぐに家賃収入を得られる
空き物件を所有して不動産投資をする場合、入居者の募集をかけなければいけません。物件の情報を登録して掲載し、入居者が実際に入居するまでには時間がかかります。また、入居者募集のための費用もかかります。
しかし、オーナーチェンジ物件ならすでに入居している人がいるために、オーナーになった日から家賃収入が見込めます。いくらの収入が入ってくるか見通しがわかるので、利回りや投資の計画が立てやすくなります。
オーナーチェンジ物件で気をつけるべき3つのポイント
メリットが大きいオーナーチェンジ物件ですが、空き物件の不動産投資とは違って気をつけなければいけない点を3つ解説します。
- 入居者の敷金礼金も管理する必要がある
- すぐに修繕が発生する可能性がある
- 入居者トラブルを抱えている可能性がある
1. 入居者の敷金礼金も管理する必要がある
オーナーチェンジするとすぐに既に入居している貸借人からの家賃収入が見込めますが、空き室になるリスクがなくなったわけではありません。
入居者から退出したいと申し出があった場合、新しいオーナーが入居者の敷金を返金しなければいけません。売買契約が済んでしまえば、その後起きることにはすべて新しいオーナーが対処する必要があります。
悪質なオーナーチェンジ物件の場合は、サクラの入居者がいることもあり売買が成立してすぐ退去してしまうこともあります。
2. すぐに修繕が発生する可能性がある
当然ですがオーナーチェンジするときに、入居している部屋の中は見られません。貸借人が退去するまで部屋がどうなっているかわからないリスクがあります。室内の状態がひどく、大掛かりなリフォームや修繕が必要になることも考えられます。
また、不動産は築年数が経過するほど修繕費も増えていく傾向にあります。すでに入居者がいるということは新築ではないため、築年数が経っている物件はそれだけ修繕が必要な可能性が高まります。
3. 入居者トラブルを抱えている可能性がある
空き室のオーナーになる場合は、入居者の審査や勤務先、年収などの情報をオーナー本人が確認してから入居を許可できますが、オーナーチェンジの場合は、どのような入居者が入っているのか賃貸契約の情報だけでしか判断できません。
オーナーチェンジしてから入居者同士のトラブルに気付いたり、家賃の支払いがよく遅れる貸借人がいることを知ったりする可能性もあります。
より良いオーナーチェンジ物件を見極める5つのポイント
よいオーナーチェンジ物件を見極めるために、チェックしておきたいポイントを5つ紹介します。
- 入居者が何人いるか確認する
- 実際に物件を見に行く
- 売却する理由を聞く
- 管理会社について調べる
- 入居者との契約内容を確認する
すでにオーナーチェンジ物件では入居している人がいるため、空き家物件の購入のようにすべてを購入前に把握するのは難しいです。しかし購入してから「こんなはずではなかった」と後悔するリスクを減らすためにも、ぜひ確認してください。
1. 入居者が何人いるか確認する
サクラの入居者がいるかどうか見極めるためにも、入居者が現在何人いるかを確認しましょう。
前のオーナーまたは管理会社に依頼して、入居者や世帯の数を聞いて、貸借人との賃貸契約書も見せてもらいます。敷金や礼金の有無や何年居住しているのかなどを把握できれば、サクラではない本当の入居者がどのくらいいるのかがわかります。
契約年数や契約日を確認すれば、退去する可能性のある入居者がどのくらいいるのかも検討がつきます。さらに入居期間が長い貸借人が多ければ、トラブルの少ない優良な物件だと判断できます。
2. 実際に物件を見に行く
入居している部屋は内見できませんが、実際にオーナーチェンジを検討している物件の下見を必ずしましょう。外観やエントランス、エレベーターや駐輪場など共有部分の状態はわかるので、物件がどの程度しっかり管理されているのかわかります。
また、周辺に大きな建物があって日当たりがよくない、幹線道路が近くを通っていて夜中も騒音がある、など周辺の環境も把握できます。
できれば昼間と夜、そして天気のいい日だけではなく雨の日などの様子も見られると、さらに物件の状態がよくわかるでしょう。
3. 売却する理由を聞く
物件を手放したいと思っているオーナーに売却する理由を聞いてみましょう。
不動産投資をしているオーナーの中には、サブリース契約をしている人も少なくありません。
サブリースは、サブリース会社が不動産を一括で借り上げて入居者に貸し出すので、オーナーは空室リスクを回避できます。サブリース契約は数年ごとに更新しますが、修繕積立金の値上がりや家賃の値下がりなどが重なると契約条件が悪くなり、投資計画の見通しが悪くなることがあり売却を検討するオーナーもいます。
また、価格の安い時期に購入した投資用物件を今売却すると高く売れる、オーナーが高齢になってきて管理が負担なので売却したい、遠方へ引っ越しすることになり管理が難しくなった、など詳しい理由がわかると安心です。
明確な理由がわからない物件の場合は、何らかのトラブルを抱えている可能性もあるので注意が必要です。
4. 管理会社について調べる
オーナーチェンジをする場合、管理会社のことも調べましょう。物件を適切に管理してくれているか、入居者への対応なども確認してください。
オーナーになってから空き室が出て、入居者の募集をかける必要が出てくる可能性もあるので、入居者募集に慣れている管理会社ならなおいいでしょう。今の管理会社に不安があるようなら、別の信頼できる管理会社を探す必要があります。
現在の管理会社で特に問題がないと判断するならば、継続して管理を依頼できます。
5. 入居者との契約内容を確認する
オーナーチェンジした場合、すでに入居している人の契約内容は変更できません。
しかし以前交わした契約内容を必ず確認して、問題はないかチェックしてください。敷金や保証人に関することや、契約更新料について、退去するときの修繕費用、賃料についてなどはしっかり把握しておきましょう。
どこか不明な点があれば、オーナーチェンジするまでに、現在のオーナーに確認してください。
オーナーチェンジ物件はリスクを知ったうえで検討を
オーナーチェンジ物件は、入居してもらうまでの手間・費用が不要で、すでに入居している人がいるためオーナーになった時点で家賃収入が見込めます。
しかし、空き室が出るリスクが減るわけではなく、オーナーになってすぐに退去する人が出る可能性もあります。入居している部屋の内見ができないデメリットがあり、何かのトラブルがあって現オーナーが売却を急いでいるなどリスクも考えられます。
必ず購入する前には、本記事で紹介した次の5つのポイントを確認しましょう。
- 入居者が何人いるか確認する
- 実際に物件を見に行く
- 売却する理由を聞く
- 管理会社について調べる
- 入居者との契約内容を確認する