売買契約後に解除できる特約とは?ローン特約と買替特約のメリット・リスクを解説【2025年最新版】

今回は、不動産売買契約書に出てくる「住宅ローン特約」と「買替特約」について取り上げます。どちらとも買主を保護するための特約です。

特に住宅ローン特約は、契約当事者が、<法人の売主>ー<個人の買主>、<個人の売主>ー<個人の買主>を問わず、ほとんどの契約書に定められています。

これから不動産購入を検討している方はもちろんですが、自宅の売却を検討している方も必ず把握しておきたい契約内容です。

住宅ローン特約(融資利用の特約)とは買主が住宅ローン審査が通らなかったときに売買契約を白紙にできる特約

住宅ローン特約とは、金融機関と住宅ローンを組み、その資金を不動産購入に充てることを前提としています。

万が一、買主が住宅ローンの本審査に落ちてしまい融資を受けられない場合、売主・買主の双方は違約金や損害賠償などのペナルティ無しで契約解除ができます。加えて、売買契約時に買主が払った手付金を売主から返してもらえるため、買主は大幅にリスクを下げることができます。

具体的には「○月○日までにAAA銀行B支店の融資が不成立の場合、買主は本契約を解除することができる」というように記載がされます。

買主にとって非常に有利な条件であると同時に、売主にとっては非常にリスクのある特約です。

不動産売買の流れを簡単に説明すると、買主が住宅ローンを申し込むタイミングは、不動産売買契約を締結した後になります。これは、金融機関が住宅ローンのお金を買主に貸す際に、対象となる不動産を購入する証拠(=不動産売買契約書)を必要としているからです。

売主の立場からすると、せっかく売買契約を締結したのに契約が白紙となってしまい、再び売却活動を開始しなければなりません。これは心が折れそうですね。

筆者の経験から言うと、買主が住宅ローンの審査に落ちるケースは、そんなに珍しいものではありません。このようなリスクを避けるためにも売主は買主をしっかりと見極める必要があります。

そのために、買主の年収や頭金などの資金計画、勤務先と勤続年数、家族構成、人柄などの情報をしっかりと不動産会社からヒアリングして、返済能力があるか確認しましょう。また、買主には必ず複数の金融機関へ「住宅ローンの事前審査」を申し込むように予め依頼します。

住宅ローンの事前審査(仮審査)とは、住宅ローンの本申込みの前に、買主が住宅ローンをその条件で組めるかどうか簡易審査することをいいます。この事前審査は物件資料と買主の情報(年収や勤務先、借金の金額など)だけで行ってくれますので、売買契約締結前に買主のある程度の与信を図ることができます。

住宅ローンの事前審査が通過できれば、本申込み時の審査も落ちる可能性は高くありません。ただし仮審査時と本審査時で状況が異なる場合(転職や減給で年収が下がった、借金が増えたなど)や、本審査のみ必要で追加された項目で本審査に落ちる可能性もあります。

追加項目とは、例えば登記簿謄や測量図などで物件の評価を行った結果、事前審査時よりも資産評価が下がる可能性があります。他にも、買主の健康状態は本審査でしか聞かれません。健康診断の結果や通院歴などによっては団信の審査が通らないという場合もあります。

後になって後悔しないためにも自宅の売却を検討中の方は、住宅ローン特約に期限を指定しているか、複数の金融機関で事前審査が通っているか、事前審査時には不要でも正確な情報を予め伝えて金利目安を確認するなど、しっかりと把握しておくが重要です。

なお、民間の金融機関の変動金利の住宅ローンは、年に2回金利が見直されます。本審査では1ヶ月ほどかかることもあるので、仮審査時と物件引渡し時の間に金利見直しが入るのかどうかも予め確認しておくと良いでしょう。

住宅ローン特約で契約解除が認められるケース

具体的に契約解除をするための条件が2つあります。

1つ目は予定していた物件取得費用(※)と金利で、金融機関から融資を受けられなかった場合、もしくは売買契約書にて申請先として指定した全ての金融機関で住宅ローンを組めなかった場合です。

2つ目は、住宅ローンの不成立に買主の過失がないことです。過失とは、例えば別で借金があるのに住宅ローン申請では借金の存在を隠すことなどを言います。

これらの条件に合致した場合、買主はペナルティなしで契約解除が可能です。

では、契約解除が認められない、却下できるケースはあるのでしょうか。

※物件取得費用とは、物件価格・諸費用(仲介手数料・登記にかかる費用など)・必要があればリフォーム・工事費用などを合計した金額です。

住宅ローン特約で契約解除が認められないケース

次の2つのどちらかに当たる場合は、契約解除はできません。

  • 住宅ローン不成立に買主の過失があった
  • 故意に住宅ローンが通らないように悪用した

「住宅ローン不成立に買主の過失がある」とは、例えば住宅ローン申請時に借金の存在を隠すなど、虚偽の申請を行うことです。

また「故意に住宅ローンが通らないように悪用した」とは、例えば他により魅力的な物件を見つけたので違約金を払いたくないためにわざと融資が組めない条件にすることです。例えば、借入金額を故意に高く申告したり、住宅ローン審査が終わる前に別のローン(教育・車など)を追加で組んだ、別のローン返済が滞っているなどです。

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買替特約とは自宅売却で得た預金を新居購入費用に充てたい買主に有利な特約

買替特約とは、現在住んでいる自宅を売却して、その売却資金を新しい住宅購入に充てることを前提に買替えを予定していた買主が、自宅を売却できず、新しい住宅の購入を断念せざるを得ない場合、売主・買主の双方がペナルティ無しで白紙解除できる特約のことをいいます。

買替特約は、主に新築マンションや新築建売り住宅など、売主が不動産業者の場合に出てくる特約です。

この特約も買主にとっては有利な内容となっていますが、デメリットもありますので注意が必要です。そのデメリットとは、自宅の売却活動を買替え先の売主である不動産業者の指定する不動産業者(ほとんどがグループの不動産仲介会社)に委託することが条件となっていることです。

不動産業者の立場からすると、買替特約により契約が白紙解除になるなんて堪ったものじゃありません。そのため、売却する自宅の売却価格はかなりシビアに査定をしてきます。ほぼ確実に市場に出したら売れる査定価格を出してきますので、近隣相場と乖離した低い価格で売却しなければなりません。

このような理由から、一概にこの買替特約を良いと言うことはできません。

詳しくは、次の記事も併せてご覧ください。

ローン特約と買替特約は買主に有利な特約だがリスクの把握は必要

売買契約の不動産売買契約書に出てくる「住宅ローン特約」と「買替特約」はどちらとも買主を保護するための特約です。

しかし居住用の戸建て・マンションを個人に売却する場合(業者買取ではない)は一般的にこの2つの特約は入れます。「住宅ローン特約」は買主に有利ではあるものの、買主が安心して購入を申込むためには重要な特約でもあります。

メリット・リスクを把握したうえで、契約内容に関する不明点は不動産会社に相談してみるといいでしょう。

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