不動産売却を考えるなら
自分が持っている不動産を売却したいと思ったら、すぐに査定してもらわずに、まずは自分でできることをやりましょう。
インターネットで簡単に不動産会社の査定額がわかるサイトなどもありますが、不動産会社によって査定の金額にかなり差が出る場合があります。
多い場合は100万近くの差があることも。また、査定額はそのときに売った場合の価格を出しているので、不動産を売ろうと決断するまでに、相場や価格が変動する可能性もあります。
不動産会社によっては、売買仲介を請け負いたいために、相場よりあえて高い査定額を出すところもあります。
売り主は高く売りたいと思いますが、妥当な価格でない場合、不動産がなかなか売れずに時間がかかってしまうこともあります。
査定を依頼する前にまずやるべきことを紹介します。
売りたい希望額を考える
不動産をいくらで売りたいか考えましょう。
希望売却価格を決めるためには、なぜ不動産を売ろうと思ったのかをまず明確にします。子どもの成長に合わせて買い替えを検討している、または親と同居するために住み替えたい、親や身内から相続した利用していない不動産を売却したいなどいろいろな理由があるはずです。
売りたい希望価格は、購入時の金額やローンの支払いが残っている場合は、残額などを考えて決めていきましょう。
不動産を査定してもらったときに必ず自分の希望する価格に近い査定額が出るとは限りませんが、目標額を出しておくことで具体的な売却方法を考えられるようになります。
不動産売却の相場を調べる
売りたい希望価格が決まったら、不動産の売却相場を調べてみましょう。
相場はインターネットを使えば自分でも簡単に調べられます。不動産会社が扱っている売り物件などを見てみましょう。
同じエリアで、築年数や広さなど条件が似た物件などは参考になります。
相場と自分が売りたい希望額にどのくらいの差があるのか把握しておきましょう。
また、不動産の相場は時期によって変わります。地価の高騰や下落、駅や道路の開通などがあるとその周辺の物件の相場があがる場合もあります。
売りたい不動産のあるエリアが将来的に価値が出そうな場合は、売却の時期を少しずらしてもいいかもしれません。
不動産売却の相場の調べ方
不動産売却の相場を調べる具体的な方法をいくつか紹介します。
不動産会社に査定を依頼してもいいですが、信頼できる不動産会社かどうか最初に見極める必要があります。
業者の中には、売買の仲介の仕事を取るためにあえて相場より高い査定額を提示してくるところもあります。
高すぎる売却価格を設定してしまうと、なかなか買い手が付かなくなってしまうこともあります。
まずは自分で不動産の売却価格の相場を把握しておくと、不動産会社が提示する査定額が適正かどうかの判断ができるので調べておきましょう。
インターネットの一括査定を利用する
インターネットの一括査定を使って、所有している不動産がいくらか査定してみましょう。
一括査定は、簡単ですぐに査定額がわかる方法です。複数の登録している不動産会社が、不動産を査定してくれます。
不動産の住所や広さ、間取り、築年数などわかる範囲の情報を入力して、個人情報を入力すると査定の結果を電話やメールで教えてくれます。
一括査定のサイトはたくさんあり、それぞれ登録している不動産会社が違い、特色があります。
いくつかの一括査定のサイトで査定してもらって比較してみてください。一括査定はすべて無料で行えます。
近隣の売り出し中の物件を調べてみる
売りたい不動産のある同じ地域で売り出している物件があれば、売却価格を調べてみましょう。
築年数や間取り、広さなどをチェックしてみてください。売りたい不動産と似た条件の物件ならば、売却価格を決める参考になります。
また、売り出してからどのくらいの期間で売れたのかなども見ておきましょう。広さが違う物件の価格を比較する場合は、平米の単価や坪あたりの単価で計算すると便利です。
物件価格を広さで割った金額で出るので、計算してみてください。
いくつか周辺で売り出している不動産の売却価格を知っておくと、自分の不動産を査定するときに相場として比較ができます。
実際に売れた物件の価格を調べる
売り出している物件の価格通りに売却できることは、実はあまりありません。
表示されている価格よりも値引きされた金額で買い手がつくことが多いので、実際に売れた物件の価格を調べておくことも大切です。
実際の成約価格を調べるなら、国土交通省の「不動産取引価格情報検索」が便利です。不動産は中古マンションや、土地と建物、土地などから選べます。
またエリアは路線や駅から絞り込んだり、住所から検索できたりします。過去1年間や2年間に売れた不動産の実際の売却価格が調べられるので、近隣の物件の価格をチェックしてみましょう。
基準地価をチェックする
土地の価格を知りたい場合は、公示地価や基準地価など地価の情報が載っているサイトを調べてみましょう。
国土交通省のサイトから探せます。不動産鑑定士が毎年1月1日時点の公示地価や、7月1日時点の基準地価を調べて掲載しているものです。
地価の公示は全国で2万6000地点、基準地価は2万2000地点ほどあります。
全国すべての土地の情報はわかりませんが、地価の推移や売買するときの価格をつけるときに目安になります。
路線価図を見る
売りたい土地の価格を調べたい場合には、路線価図を利用しましょう。路線価図は地価を評価する場合に使われるものです。
相続税などを計算するときも用いられます。道路別に面している土地の単価が平米ごとに1,000円の単位でわかります。
自分の持っている不動産が面している道路に記された金額をもとに、土地面積をかけて売りたいとちの価格を算出できます。
ただし路線価図に載っている地価は標準的なものだけで、所有している土地が2つ以上の道路に面している場合や、特殊な形をしている土地などは計算できません。
不動産売却の相場がわかったら不動産会社に相談してみる
自分で調べて不動産の相場がだいたいわかったら、不動産会社に査定を依頼しましょう。
まずはインターネットの一括査定を利用して、いろいろな不動産会社で査定額を出してもらって比較してみてください。
高く査定してくれた業者は書き留めておきましょう。一括査定は数分から数十分程度で、すぐに不動産の査定をしてくれるのでとても便利ですが、査定してくれた不動産会社から何度も電話で営業活動が入る可能性があります。
しつこい勧誘などを避けたい場合は、一括査定を申し込むときに「連絡はメールのみにしてください」などと備考欄に書いておくといいでしょう。
複数の会社に見積もりを取る
一括査定で高い査定額をつけてくれた業者をいくつかピックアップして、訪問査定を依頼しましょう。
訪問査定は、不動産会社の担当者が直接売りたい不動産を見て、建物の状態や築年数、立地、広さや日当たり、間取りなどさまざまな面から不動産を鑑定して、詳しい査定額を出してくれる方法です。
自分の持っている不動産の査定額が明確になります。
訪問査定も、不動産会社によって査定額が変わります。手間や時間はかかりますが、比較してより高い価格で売却するためには、いくつかの不動産会社で訪問査定してもらうといいでしょう。
担当者の対応もチェック
一括査定でも訪問査定でも、不動産会社の担当者の対応もしっかりチェックしてください。
高い査定額をつけた業者が優良な業者とは限りません。
売主の不動産を売りたい気持ちを聞いて、売却するときの手順のアドバイスをくれたり、不明点は詳しく説明してくれたりと、親身になって不動産売却の手伝いをしてくれる信頼できる業者を選びましょう。
不動産売却相場の調べ方をチェックして売る価格を決めよう
不動産を売却しようと思ったら、まずは自分で相場を調べてみましょう。
インターネットの一括査定は、簡単にできて便利ですが、精度は低いものです。近隣で売り出している物件の価格を調べるだけでなく、実際に売れた価格を調べることもできます。
また土地の売却価格相場を調べるなら、基準地価や路線価図などが役立ちます。ある程度売却相場がわかってから、不動産会社に訪問査定を依頼してください。
一括査定してもらった不動産会社の中から、相場よりやや高い査定額をつけてくれて担当者の対応が好意的だったところを選びましょう。
売却価格は最終的には売主が決めるものです。適正な価格で早く売却できるよう、信頼できる不動産会社に相談しながら売却活動をしましょう。