マンション売却までの主な流れ
家族が増える、仕事が変わる、もう少し広い家に住みたいなど、新居を購入するきっかけはたくさんあるでしょう。
新しい住居を決める前に検討すべきなのが「今のマイホームのマンションをどうやって売るか」です。
不動産の売却は人生で何度も経験しないため、まずはマンション売却時の流れとポイントを解説します。
事前の準備、確認事項
まず最初に、売却について目的を明確にします。希望する条件を明確化することで、不動産会社への相談がしやすくなり、自分が理想とするマンション売却が叶うか否かがわかります。
希望条件として、「いくらくらいで売りたいか?」「売却はいつごろまでにしたいか?」は最低限検討しておく必要があるでしょう。もし引越しの日程が決まっている場合は、あわせて不動産営業マンへ伝えます。
また、住宅ローンの残高を確認しておくことも重要です。ローンを完済するための「最低売却額」がいくらになるかがわかります。売却金額によっては、買い替えローンを利用することも検討しなければならないかもしれません。
これらをふまえ、不動産営業マンが最適な販売戦略を提案してくれますので、希望条件の整理と住宅ローン残高はあらかじめ準備しておきましょう。
価格の査定を依頼する
賢くマンションを売却するためには、親身に相談に乗ってくれ、的確なアドバイスをくれる不動産会社を選ぶことが重要です。
そのため、査定依頼は必ず複数の不動産会社にしてもらいましょう。査定方法は「簡易査定」と「訪問査定」の2種類があります。
まずは、物件の情報や周辺エリアの過去の売買情報などをもとに机上で計算する「簡易査定」を複数社に行ってもらい、「訪問査定」にはその中から査定価格の根拠を明確に説明できる不動産会社のみ来てもらうことがおすすめです。
また、一括査定サイトを活用すると、一度の入力で複数社に簡易査定を依頼できるので、時短になります。
媒介契約を結ぶ
訪問査定でお願いしたい不動産会社が決まったら、マンション売却の仲介をしてもらうために選んだ不動産会社と「媒介契約」を結びます。
媒介契約は、「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類で、売主のニーズにあった契約をすることで損することなく、マンション売却できます。
一般媒介契約は、複数の不動産会社と媒介契約を結び間口を広げられる契約です。販売活動状況の報告義務はないので、こまめに連絡がほしい人には向いていないでしょう。
専任媒介契約は、1つの不動産会社のみと契約しながら、自己発見ができる契約です。1社からのみ売却に関する連絡(2週間に1度以上)がきますので、窓口を一本化でき、売却情報を整理しやすくなります。
専属専任媒介は、専任媒介よりもさらに積極的に売却活動をすることが不動産会社に義務付けられている契約です。この場合、自己発見取引はできませんが、1週間に1度以上連絡があるなど、より丁寧なサポートを受けられます。
内覧準備や価格交渉を行う
いよいよ媒介契約の締結が終わり、販売活動がうまく進むと購入希望者から内覧の申込みが入ります。
いつもより念入りに掃除をし、整理整頓を行い、物件をよりよく見せられるよう準備します。場合によっては、前日や当日に内覧希望の連絡が来ることもありますので、売却活動を始めたら普段からできる限り綺麗な状態を心がけておきましょう。
特に、第一印象を決める玄関や汚れやすい水まわりについては、重点的に行うことをおすすめします。
内覧のあとに価格交渉の連絡が来ることもあります。
まだ販売活動を始めて間もない(3ヶ月未満)場合は、価格を下げずに別の購入希望者を待つ選択肢もあります。ローンの残債や新居の購入費用を元に、値下げできる最低ラインを予め決めておくことも大切です。
不動産売買契約を結ぶ
不動産の売買は高額になりますので、不動産売買契約書を結ぶ必要があります。
契約締結後に後悔することがないよう、事前に物件価格や引渡し時期、契約不適合責任の期限などをしっかりと確認することが大切です。気になる点が残ったままだと後々モヤモヤする可能性が高くなりますので、不動産担当者に交渉してもらいましょう。
契約日当日は、売主、買主、仲介する不動産会社の担当者が揃って行います。
住宅ローンを繰り上げ返済し、引渡す
売買契約の締結が完了すると、あとは物件を引き渡すだけなのですが、住宅ローンの残債ある場合には繰り上げ返済をし、抵当権を外しておく必要があります。
住宅ローンの一括返済申込みは、一般的には金融機関に出向くことが多いですが、事前に書類を送る必要があるなど金融機関ごとに異なります。また、手続きは早ければ1週間ほどですが、1か月ほどかかる場合があります。あらかじめ金融機関へ問合せをし、早めに手続きを進めましょう。
引渡しの際は、売買金額の残金が指定した口座に振り込まれているかを念のため確認したうえで、マンションの鍵や資料を渡しましょう。
売却益の有無にかかわらず確定申告
マンションを売却した場合、サラリーマンであっても確定申告が必要です。
不動産売却によって利益が出た場合には、納税義務が発生する可能性があります。利益が出た場合でも特定の条件を満たしたり、逆に利益が出なかったりした場合には、特例や控除を受けられる場合があります。
どちらにせよ必要な手続きとなっていますので、忘れずに申告しましょう。
マンション売却のよくある失敗例
事前に下調べもせずに売却しようとすると、落とし穴にハマって失敗してしまう人も多々います。
大きな金額が動きますし、住宅ローンの残債によっては自己負担金額に大きく影響することもあります。
そこで初めてのマンション売却でも失敗しないよう、よくある失敗例を5つまとめました。
失敗例1. どこの不動産会社と何を話したのか分からなくなる
複数社に簡易査定を依頼することは重要ですが、何十社からも査定の連絡が来てしまい、どこの会社とどんなやりとりをしたのか、情報の整理がつかなくなってしまうことがあります。
簡易査定した不動産会社から訪問査定をさせてほしいといった電話連絡が多くきてしまうと、対応だけで疲れてしまいます。
そこで、やり取りはメールやSMS、チャットなどの文字として残る連絡手段に集約することをお勧めします。一括査定サイトを使う場合は、備考欄に「電話よりメールでの連絡を希望します」「平日の19時以降か、土日だとすぐに返信できます」というように、普段よく使っている連絡手段や、連絡を受けやすい時間帯を記載しておくと良いでしょう。
失敗例2. 不動産会社から「囲い込み」を受けてしまう
媒介契約を専任契約とした場合のデメリットとして挙げられるのが、不動産会社による囲い込みです。
不動産会社の主な収入源は仲介手数料ですので、1つの物件に対して売主・買主の両方を仲介すると効率よく利益があがります。
そのため、購入希望者が他の不動産会社経由で購入したいと問合せをしてきても、既に申し込みが入っていると虚偽を伝え、自社でしか買い手がつかないように囲い込まれることがあります。
レインズに登録した時に発行される「登録証明書」を見たからといって安心はできません。販売開始から1か月たっても問い合わせ件数が0件の場合には、他の不動産会社から募集されているか確認してもらうのがよいでしょう。
また、専任契約・専属専任契約の契約期間は最長3ヶ月です。2ヶ月経っても問い合わせが全くない場合は、一括査定サイトなどを使って、他の不動産会社に当たりをつけておき、契約更新のタイミングで一般媒介契約に切り替えることも検討すると良いでしょう。
失敗例3. 担当者とのコミュニケーション不足
意外と多い失敗例は不動産会社の担当者としっかりコミュニケーションが取れていなかったというものです。
例えば、いつまでに売れるなら○円まで下げても構わない、ここは譲れないポイントなど細かい部分まですり合わせしておくことが、満足度の高い売却へとつながります。
また、販売状況について不動産会社から定期的に報告はありますが、頻度や内容に不満がある場合は早めに伝えましょう。
失敗例4. 一番高い査定額を出した会社に飛びつく
高く売りたいと思い査定額だけに飛びついてしまうと、失敗してしまう可能性が高くなります。
なぜなら不動産会社は自社で媒介契約をできるように、可能なかぎり高い査定額を提示してくることがあるからです。
なかには、相場よりも高い査定額を出すことで契約を取ろうとする不動産会社もあるので注意しましょう。査定額を提示してもらったときには、その根拠まで明確に説明してもらう必要があります。
またAI査定などを利用して、相場の金額をあらかじめ自分で調べておくことも大事です。明らかに高い査定額を提示されたときには、売却活動が長期化し、実際の売却時の金額が大きく下がる可能性がありますので、根拠まで確認し納得した上で媒介契約を結ぶようにしましょう。
失敗例5. 売却を急ぎすぎて焦って売却してしまう
「早く売却したほうがいいのでは?」「この先、購入希望者が出てこないかも?」などと焦ってしまい、値下げに応じてしまう人も多くいます。売却を急ぐ特段の理由がある場合は別ですが、本来不要な値下げであれば、売却後に後悔する可能性が高いです。
購入希望者から値下げ交渉をされた場合は、まずは焦らず不動産担当者に相談しましょう。具体的なアドバイスを受けられるはずです。
また、あらかじめ値下げを考慮に入れ、少し高めに販売価格を設定しておくと気持ちにゆとりが持てるでしょう。
マンション売却は信頼できる不動産担当者を見つけることが大事
マンション売却の流れと気を付けるべき点についてまとめました。
初めてマンションを売る人も多いですから、何か困ったことや気になることがあったときにすぐ相談できる人に担当してほしいですよね。
人と人のつながりですので、話しやすい人、レスポンスの早い人、細かく説明してくれる人など、自分にあった担当者を見つけることが大切です。
訪問査定時には、その営業マンの対応を見極めるタイミングでもありますから、複数社の査定を行い、マンション売却を一緒に成功させてくれる不動産担当者を見つけましょう。