土地を査定する方法
土地を売却するときは、土地価格を調べるために査定を行います。
土地査定とは、目安として3か月ほどで売却できるであろう価格を算出する作業のことをいいます。
この査定額を参考に土地の売却価格が決められます。価格基準は土地のエリアや状況により相場価格は異なります。
査定方法には、「取引事例比較法」「原価法」「収益還元法」 の3つの算出方法があります。
- 取引事例比較法:過去の取引事例を参照に売却価格を算出する
- 原価法:現在の土地価値で同様の建築物を建てた価格を求め経年劣化分を差し引いて算出する
- 収益還元法:不動産から発生する収益をもとに算出する(投資用の不動産向け)
不動産会社で査定
一般的な土地査定の方法として、不動産会社へ依頼します。不動産会社で査定する方法は2種類あります。
【机上査定(簡易査定)】登記簿謄本や権利書などの土地情報から査定額を算出します。短時間で査定額を確認できますが、あくまでも情報だけの査定なので、精度や正確性は低くなります。
【訪問査定(実査定)】机上査定と同じように書面情報を確認したうえで、実際に現地へ出かけ査定を行います。3~10日ほど時間がかかります。査定には登記簿謄本、権利書、購入時契約書・重要事項説明書、境界の確認できる測量図が必要になります。訪問査定では、売却価格に影響を及ぼす要素をチェックします。景観・周辺トラブル・ライフラインの状態など。また、正確性を高めるためには不動産会社を1社に限定するのではなく、複数社に査定を依頼しましょう。
「一括査定サイト」:売却検討中の土地情報を入力するだけで、不動産会社複数社に一括で査定依頼できます。
自分で査定
公的なデータ情報を確認すれば、自分で土地査定ができます。ある程度の価格を把握し、不動産会社へ査定依頼するときに役立てましょう。
□「公的評価額」
【公示地価・基準地価】国土交通省管轄:土地売買で目安となる価格
公示地価:国土交通省、毎年1月1日時点の全国約2万6,000地点を調査
基準地価:都道府県、毎年7月1日時点の全国約2万1,000地点を調査(データは国土交通省)
【相続税路線価】国税庁:毎年1月1日時点の相続税や贈与税の基準になる土地価格。公示価格の80%相当が目安。「路線価」は道路に面している土地の価格水準
【固定資産税評価額】市区町村:3年ごと1月1日時点の固定資産税・都市計画税を算定するため、建物や土地の価格。公示価格の70%相当が目安
□「不動産情報ライブラリ(旧・土地総合情報システム)」:周囲の土地取引価格を参考にする
土地査定額のポイント
土地の査定価格を決めるのは、方角や広さだけではありません。
その土地に建てられる建物が何かということが重要なポイントになります。建物を建てる際には、土地の特徴により、さまざまな法的規制があります。
よく耳にするのが、建物の大きさなどを規制する「建ぺい率」「容積率」です。
また、建物の用途に対し規制する「用途地域」です。つまり土地査定では、その土地に課せられている法的な規制が査定価格に大きく影響します。
用途地域について
用途地域では、建てられる建物の用途を規制しています。用途地域は3タイプあります。
・住居系:住宅を中心としている地域
・工業系:準工業地域、工業地域、工業専用地域
・商業系:近隣商業地域、商業地域
建てられる建物の用途が多様であるほど、ニーズも活性化し土地価格が上がるといわれています。
3タイプ中では「商業系地域」は建てられる建物がの種類が幅広いので、土地価格も高くなります。オフィスやデパート、ホテル、住宅など、さまざまな用途の建物が建てられます。
一方、「住居系地域」の第一種低層住居専用地域は、規制が多いため建てられる建物が限定され、土地価格も低くなります。
面積や形状/駅からの距離
【土地の面積と形状】土地の査定価格には面積の広さや形状が大きく影響します。
・利用規制が緩い土地:面積が広いと活用の幅が広がり、ニーズも高まり価格も上がる
・利用規制が厳しい土地:面積が広くても、規制が厳しく開発も難しいため価格も下がる
・整った土地:便利に利用できるため価格が上がる
・変形地:使い勝手が悪くと価格が下がるが、いびつでも広ければ利用度が高く価格も上がる
【駅からの距離】徒歩圏内で駅に近ければ価格は高くなります。ただし、駅からの距離が徒歩圏外でも、バス停や商業施設が近ければ土地の価値は上がります。
土地と道路の関係
【前面道路】土地に接している前面道路の幅によって、建てられる建物の容積率が変わってきます。前面道路の幅が広い方が建物は建てやすいので、価格が上がります。狭い場合は建物が小さくなり、容積率が下がるので価格も下がります。
【間口と奥行きの長さ】土地に面した間口の広さと奥行きの長さも価格に関係します。間口が広く奥行きが長い方が利用度が高いです。しかし、間口が狭かったり、奥行きが長すぎたりすると利用価値が低くなるため、価格が下がります。
【角地・二方路地など】土地がどのように道路と接しているかは、土地価格に影響します。角地(2本の道路で角を作っている土地)、二方路地(2本の道路に挟まれている土地)は、日当たりや利便性から土地価格が高くなります。中間画地(1本の道路にしか接していない土地)は、角地や二方路地に比べ価格が低くなります。
【道路に対しての高低差】土地の接している道路の高低差は土地価格に影響します。道路よりも低い土地は、風通しや日当たりなどの環境面で劣り、通常の排水工事よりもコストがかかるため、土地価格が下がります。
土地に関わる事項
「近隣施設の環境」も査定の際、土地価格に大きく影響します。
土地の周囲に墓地、下水処理場、風俗店など、人に悪影響を及ぼす施設がある場合は、土地価格が下がる傾向にあります。
売却の際は、宅地建物取引業法により事前に申告、説明しなければなりません。
また、稀なケースですが「埋蔵文化財」が確認されている土地や、「土壌汚染」されている土地は、価格を下げる要因になります。
土地査定の流れ
土地査定は、公的情報を入手し自分で査定し、ある程度相場価格を把握してから不動産会社へ依頼しましょう。
一括査定から不動産会社を数社に絞り、訪問査定を依頼します。1社に限らず複数社へ査定を依頼すれば、
より公正な査定価格が算出されます。土地査定は法的な規制部分も多いので、わかりやすい説明をしてくれた不動産会社と媒介契約しましょう。
土地査定に必要な書類
土地査定を不動産会社に依頼する際には、該当の土地に関する詳細情報が必要です。必要な資料や書類は以下になります。
・登記済権利証:所有権が登記されたことを証明する書類(再発行できないので注意)
・売買契約書、重要事項説明書、地盤調査報告書:土地を購入したときに入手した書類(地盤調査費用は約10万円前後)
・地積測量図、境界確認書:隣地との境界線を確認する書類
※手元にない場合は「土地家屋調査士」依頼する(費用は数十万円、期間は数か月かかります)
・固定資産税納税通知書、固定資産評価証明書:固定資産税や都市計画税の金額を確認できる書類
土地査定の流れ
土地査定は情報取集から始めます。公的データや情報サイトを利用し価格相場を調べます。
1. 不動産会社へ査定を依頼:複数の不動産会社へ依頼し土地価格情報を入手
2. 簡易査定~訪問査定を実施:土地概要から簡易査定を行い、実際に現地に訪問してもらう
3. 不動産会社と媒介契約:仲介を依頼
4. 売却活動:査定価格と希望売却価格のすり合わせ
売却した場合の手続き
土地を売却した場合、所有権を売主から買主へ移す手続き「所有権移転登記」を行い、登記手続きは司法書士へ依頼します。
売主には「登録免許税=固定資産税評価額×税率(2%)」(※税率は2%ですが、2023年3月31日までは1.5%に軽減)が発生。買主が住宅ローンを利用する場合、金融機関と「抵当権」と所有権移転の手続きを同時に行います。
司法書士への手続き費用は10万円前後かかります。
土地の査定方法は2タイプ!売却を考えるならばあわせて活用
土地査定は、自分で査定してから不動産会社に依頼しましょう。自分でも周囲の環境や用途地域、相場価格を理解することは、土地査定で大切なポイントです。
土地の査定価格は、あくまでも予測で売却価格ではありませんが、正しい査定額は土地売却のスタートです。
土地売却を検討中の方は、適正売却価格の提示とわかりやすい説明をしてくれる不動産会社に媒介を依頼しましょう。