東京23区不動産価格への影響は?2022年生産緑地問題のおさらいと10年延長への申請について【2024年最新版】

不動産業界に大きな影響を与える問題のひとつ、2022年生産緑地問題です。

生産緑地または特定生産緑地を所有している方に向けて、生産緑地の概要や税制優遇措置、売却時の注意点についてご紹介します。

目次

農地以外には使えないが税制優遇措置がある「生産緑地」

生産緑地とは、首都・関西・中京の三大都市圏の特定市の市街化区域で、「生産緑地」と指定される農地のことです。

なぜ三大都市圏の農地に着目したのかというと、都市の農業は、

  1. 新鮮な農産物の供給、食・農に関する情報提供
  2. 身近な農業体験・交流活動の場の提供
  3. 災害時の防災空間の確保(延焼防止、避難場所、仮設住宅建設用地など)
  4. やすらぎや潤いをもたらす緑地空間の提供
  5. 国土・環境の保全(雨水の保水、地下水を蓄える、生物保護など)
  6. 都市住民の農業への理解の醸成

といった多様な役割を果たしているからです。

生産緑地が生まれた背景

都市計画法によって大都市圏の都市計画区域は以下の2つに分けられます。

  • 市街化区域
  • 市街化調整区域

この2つのうち、市街化区域は都市計画法で「すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」とされています。つまり、どんどん開発をして商業施設や宅地を増やすこと(=非農地化)を、緑地や農地を維持するよりも優先する地域のことです。非農地化を推奨した背景には、高度経済成長期の人口増加による住宅不足を解消したい考えがありました。

しかし、緑地や農地を守る必要性を訴える意見も多く、議論が重ねられました。そこで農家の固定資産税などの税負担を農地並みに抑える生産緑地法が1974年に制定されたのです。

そして、1992年には生産緑地法の改正が行われました。この改正により、市街化区域内にある農地は、以下の2つに分けられるようになります。

  • 農地を続ける→生産緑地
  • 宅地などに転用する→宅地化農地

自治体から生産緑地の指定を受けると、固定資産税や都市計画税が農地並みの課税になり、相続税についても猶予を受けられるようになります。

ただし、これらの税制優遇措置がとられる代わりに、農地を農業以外の用途に使わないこと、建築物を建てないことなどの制限が付きます。

生産緑地として税制優遇措置が受けられるのは、改正された1992年から30年後の2022年までです。

生産緑地指定から30年経過の意味とは?なぜ「生産緑地の2022年問題」と呼ばれるのか

1992年に生産緑地法が改正されたときに指定を受けた生産緑地の多くが、2022年に指定から30年を経過します。生産緑地の指定から30年が経過すると、所有者等は市町村に対して生産緑地の買取りを申し出ることができます。


しかし、市町村の財政事情等により買取りがなされない場合もあります。すると生産緑地の行為制限が解除され、宅地化や売却が可能になります。

つまり、2022年には多くの生産緑地が一斉に指定解除となり、都市部の貴重な農地が失われる可能性があると指摘されました。これが「生産緑地の2022年問題」と呼ばれ、早急な対策が求められる背景です。

2022年問題が与える影響は?

三大都市圏の特定市の生産緑地の約8割が1992年の指定です。そのため、生産緑地が一斉に指定解除され、無秩序な宅地開発による環境の悪化や、大量の宅地供給による地価の下落が懸念されました。

2022年問題は、都市部の緑地保全と、不動産市場の安定の2つの側面から、重要な課題として認識されています。生産緑地法の改正による制度の延長や拡充、関連する税制の整備などの対策が求められています。

なお国土交通省が2022年に行った調査によると、1992年に定められた生産緑地(9,273ha)のうち89.3%は特定生産緑地(詳しくは後述)に指定され、生産緑地の一斉指定解除は免れました。

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2022年問題へどのような対応策が取られたのか?4つの視点で解説

様々な施策が実施された中から3つの施策と、生産緑地の活用方法について紹介します。

  1. 生産緑地法が改正され、特定生産緑地制度への移行
  2. 特定生産緑地への移行による固定資産税・都市計画税・相続税の優遇措置
  3. 特定生産緑地に移行しない生産緑地への課税緩和措置
  4. 特定生産緑地に移行しない場合の、生産緑地の活用方法

1. 生産緑地法が改正され、特定生産緑地制度への移行

2022年問題に対応するために、まず2017年に生産緑地法が改正されました。

2017年の生産緑地法改正では、次の3点が大きく変わりました。

  1. 「特定生産緑地」制度が創設され、指定を受けることによって生産緑地の買取り申出を10年間延期(その後は10年毎の更新制)できる
    • 後述する税制優遇が継続するという後押しもあり、2022年に指定期限を迎えた生産緑地の約8割が特定生産緑地に移行し、指定期限の延長を選択した
  2. 市区町村が条例で、生産緑地地区の面積要件を500平米以上から300平米以上に引き下げることができる
    • より小規模な農地でも生産緑地に指定しやすくなった
  3. 生産緑地地区内に直売所、加工施設、農家レストランなどの農業施設を建築できる
    • 生産緑地の活用の幅が広がり、都市農業の振興につながると期待が高まっている

特定生産緑地制度の創設と活用促進を中心に、生産緑地の指定要件の緩和、活用の幅の拡大など、様々な対策が講じられました。その結果、特定生産緑地制度の定着と、都市農業の振興に向けた取り組みが進められています。

ちなみに国土交通省の調査結果によると、生産緑地の約9割が特定生産緑地に指定されました。

令和4年8月~12月にかけて、全国199都市において平成4年に都市計画決定された生産緑地地区が30年を経過したことを踏まえ、国土交通省では、当該生産緑地の特定生産緑地への指定状況について調査を実施しました。

【結果概要】
 平成4年に定められた生産緑地(9,273ha)のうち、
・特定生産緑地に指定された割合は89.3% (8,282ha)
・特定生産緑地に指定されなかった割合は10.7% (991ha) となった。

国土交通省 平成4年に定められた生産緑地の約9割が特定生産緑地に指定されました

2. 特定生産緑地への移行による固定資産税・都市計画税・相続税の優遇措置

特定生産緑地に移行した農地は、固定資産税の軽減措置や相続税の納税猶予が継続されます。

生産緑地で特定生産緑地に指定された場合、固定資産税や都市計画税、相続税の税制優遇が10年間も延長され、農家の負担軽減につながります。また、10年後に再度特定生産緑地の指定を受けることができれば、さらに税制優遇措置の期間が10年間延長されます。

つまり、生産緑地としては30年間の税制優遇期間だったのが、特定生産緑地に指定されることで合計40年間、50年間と長期にわたって優遇を受けられるのです。

ただし、特定生産緑地に指定されることで税制優遇の期間は延長されますが、農業以外の用途に使用できない制限期間も延長されます。

なお、特定生産緑地の相続と納税猶予の基本ルールは、次の通りです。

  1. 次の相続人が農業相続人であること
    • 納税猶予の継続適用を受けるには、次の相続人も農業を継続する意思と能力がある
    • ※相続人が農業をしない場合は、その時点で納税猶予が打ち切られ、猶予されていた相続税と利子税(年3.6%で計算)を一括で納付する
  2. 納税猶予の継続適用手続きを行うこと
    • 次の相続人が納税猶予の継続適用を受けるためには、被相続人の相続税の申告期限(相続を知ってから3年以内)までに、継続適用の届出を行う
    • ※届出を行わない場合は、納税猶予が打ち切られ、猶予されていた相続税と利子税(年3.6%で計算)を一括で納付する

先述の通り、9割は特定生産緑地に移行しました。もし、特定生産緑地に移行した農地を相続して売却したい場合、どうすれば納税猶予が適用されるのか、事例が少ないので法律を調べてまとめました。

  1. 租税特別措置法第70条の6(農地等に係る相続税の納税猶予)
    • 被相続人が死亡時まで農業を営んでいたこと
    • 相続人が農業相続人であること
      • 相続税の申告期限までに特定生産緑地の貸付けまたは農業経営を開始すること
  2. 租税特別措置法第70条の6第1項(納税猶予の期限)
    • 特定生産緑地の指定が解除され、売却等の処分があった場合、納税猶予は打ち切られる
    • 納税猶予期限(相続税の申告期限から3年)内の売却は原則として納税猶予の適用を受けられない
  3. 租税特別措置法第70条の6第35項(利子税)
    • 納税猶予が打ち切られた場合、猶予税額と利子税を納付する必要がある
    • 利子税は、納税猶予税額に年3.6%の割合で計算される


このように、特定生産緑地制度の定着と、都市農業の振興に向けて取り組みが進められています。

3. 特定生産緑地に移行しない生産緑地への課税緩和措置

一度整理すると、生産緑地は以下の3つのどれかを選択します。

  1. 生産緑地→30年経過後に特定生産緑地に移行
    • メリット:固定資産税・相続税の優遇あり
    • デメリット:買取り申出(宅地化)を選択できるのは、相続時または10年毎の更新のタイミングのみ
  2. 生産緑地→30年経過後も特定生産緑地に移行せず生産緑地のまま
    • メリット:いつでも買取り申出が可能、急激に固定資産税が増加されることはない
    • デメリット:宅地並みに固定資産税を引き上げ、相続税の猶予も適用なし(条件に合致すれば税金優遇が継続される)
  3. 生産緑地→買取り申出
    • メリット:利子税が膨らみすぎず済む
    • デメリット:納税猶予が打ち切られ、猶予されていた相続税と利子税(年3.6%で計算)を一括で納付する

特定生産緑地の指定を受けられない場合や、特定生産緑地への移行を選択しない場合など、2.に相当する場合は、生産緑地の状態が続きます。

税制優遇期間が期限を迎えるので、上記に記載している通り、相続税の猶予は適用されません(現世代の納税猶予のみ終身営農・貸与で免除)。また、固定資産税の課税は引き上げられます。しかし急激な税負担の増加とならないように5年かけて20%上げるなど、段階的な引き上げとなります。

ただし、生産緑地を市民農園や福祉農園として貸し出すなどの条件に合致すれば、固定資産税の軽減措置が継続したり、税納税猶予の適用を受ける可能性があります。2018年に都市農地貸借法が成立され、意欲ある都市農業者や事業者に所有する農地を貸せるようになったからです。

4. 特定生産緑地に移行しない場合の、生産緑地の活用方法

もし特定生産緑地に移行しない場合、解除した土地が田園住居地域に指定されているかどうかで、土地活用方法の選択肢が異なります。

田園住居地域は、2018年4月に新たに追加された住居系用途地域です。農業と調和した低層住宅に係る良好な住環境の保護と、農業の利便性促進を目的に、開発や建築基準のルールがあります。

  • 開発規制:農地の開発や建築等を行う場合は市長の許可が必要、300平米以上の開発が原則不許可になる
  • 用途規制:元々の用途地域に建築可能な建物に加え、農業用施設の建築も可能になる
  • 税制措置:300平米を超える部分は固定資産税の評価額が2分の1に減額、相続税・贈与税・不動産取得税の納税猶予が適用できる

では、田園住居地域に指定されているかどうかで、どのような違いがあるのかいくつか活用例をあげます。

  • 田園住居地域に指定された場合(低層住居専用地域に建築可能な建物と農業用施設)
    • 住宅、兼用住宅
    • 小・中学校
    • 保育所
    • 500平米までの農作物直売所、農家レストラン
    • 農業用施設等
  • 田園住居地域に指定されなかった場合(低層住居専用地域に建築可能な建物)
    • 住宅、兼用住宅
    • 小・中学校
    • 保育所

まずは、所有している土地が田園住居地域に指定されているか用途地域を確認してみましょう。

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東京を例に生産緑地の現状を解説

東京都内の生産緑地は約2,900ヘクタールで、すべての生産緑地(約1万2,000ヘクタール)のおよそ4分の1を占めています。

もし、これだけ多くの生産緑地が一気に宅地に転用された場合は大変です。一般的な一戸建てであれば、20万戸以上も建設が可能な広さがあります。一戸建てではなく、マンションやアパートを建てる場合はもっと多くの世帯が住める規模です。

都内で特に生産緑地が多く存在する自治体は?

生産緑地が多く存在する自治体では、一気に宅地が広がり、地価が下落する可能性をはらんでいます。

では、どの自治体に生産緑地が多いのか、どのような地域に生産緑地が分布しているのか見てみましょう。

では生産緑地が多く存在する自治体を、面積の広い順に並べてみます。

▼23区内生産緑地面積ランキング(令和5年4月1日時点の東京都都市計画公園緑地等調書参照)※単位はヘクタール

練馬区169.77
世田谷区82.63
江戸川区34.10
杉並区30.76
足立区27.80
葛飾区24.22
板橋区8.59
大田区2.04
目黒区1.88
中野区1.31
北区0.30
区部合計383.40

上記の表を見ると、23区内では圧倒的に練馬区と世田谷区内の生産緑地が広いことが分かります。この2区だけで252ヘクタール。区部合計の約2/3を占めます。

そのため、23区内で着目するべきは世田谷区と練馬区の2つの区のどこが生産緑地になっているのか、それぞれの自治体のホームページで確認しました。

世田谷区:神奈川県に近い場所ほど生産緑地が多く存在

世田谷区内の生産緑地の分布図は以下から確認できます。

▼世田谷区公式ホームページ

https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/sumai/001/001/d00004878_d/fil/2zenku_map.pdf

図:令和5年4月末時点の世田谷区都市計画図
世田谷区都市計画図で生産緑地の分布図を確認する

この図の中で明るいグリーンで塗られた箇所が生産緑地となっており、各所に点在していることが分かります。

特に世田谷区内で生産緑地が目立って多いのは、小田急線沿いでいえば喜多見駅付近、京王線でいえば千歳烏山駅付近です。駅がそれほど近くにない場所でいえば上祖師谷付近にも目立っています。更に環八道路沿線にも生産緑地が目立っています。

一方で都心に近い場所、北沢方面などに進むと生産緑地はそれほど目立っていません。神奈川県に近い場所ほど、全体的に生産緑地が多く存在しています。

練馬区:埼玉県付近は特に生産緑地が多い

次いで23区内でも最も資産緑地の面積が広い練馬区の様子も確認してみましょう。

23区内の公示地価ランキングでは、世田谷区は23区内で14位、練馬区は19位に位置します。

もともと地価水準は低いですが、そこで170ヘクタールもの生産緑地が宅地に転換されてしまえば、大幅な地価の下落は免れません。

練馬区内の生産緑地の分布図は以下のリンクから確認可能です。

▼練馬区公式ホームページ

https://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/machi/yotochiikizu/toshikeikakuzu.html

図:令和5年4月時点の練馬区都市計画図
練馬区都市計画図で生産緑地の分布図を確認する

全体的に区内全域に生産緑地が分布していますが、特に目立っているのが大泉や大泉学園エリアです。かなりの生産緑地があることが、ひと目で理解できます。隣接する自治体を見ると大泉学園は埼玉県和光市と隣接しています。埼玉県付近は元々練馬区内でも地価は高くない地域です。

一方で新宿区や豊島区など地価の高い区と隣接するエリアには、あまり生産緑地は存在していません。

都心に近い場所ほど生産緑地指定解除の影響を受けにくく、また都心から離れた住宅地は生産緑地問題の影響を真剣に考えるべきだといえます。

世田谷区が2022年に実施した農家へのアンケート結果

世田谷区が2022年8~11月に区内の農家368件(内265件から回答あり)に対して実施した、特定生産緑地への移行の意向や農業・農地にかかる意見などをまとめたアンケート結果に以下のような情報が公開されています。

  • 特定生産緑地制度について 9 割以上の方が認識している。
  • 10 年後の特定への再移行を希望する農家は半数程度 47%(124 件)で、希望しない農家は 2%(6 件)とほぼいない。【未定・空白 51%】
  • 宅地化農地等を生産緑地に追加指定を予定している農家は 7%(19 件)。【予定なし 68%(181 件)、空白 25%(657 件)】
  • 生緑の貸借を考えている農家は一定数 18%(48 件)存在する。【いない 75%(199 件)、空白 7%(18 件)】 ※貸か借かは不明確
  • 後継者がいる農家は 54%(142 件)で、いないのは 38%(102 件)。
  • 10 年後の特定への再移行を希望する農家は半数程度 47%(124 件)いるが、そのうち33%(41 件)は後継者がいない。【67%はいる】
    • 41 件のうち農地売却について触れる人が 14 件
  • 貸借を考えていない人 198 件のうち 85 件(43%)は後継者がいないと回答し、そのうち農地売却について触れる人が 21 件

後継者がいない農家が38%もいる一方、賃借制度の措置などを活用したり、10年後の特定生産緑地を更新を希望するなど意欲がある農家が多く、まだ農地売却を考えている人は少数と見られます。

生産緑地が多いエリアでも、2023年時点では地価下落が発生してない

また練馬区内でも特に生産緑地が広かった大泉学園駅付近の近年の公示地価推移を見てみましょう。

 ㎡単価坪単価上昇率
2019年[令和元年]35万9,000円/㎡118万6,776円/坪2.86%
2020年[令和2年]36万8,000円/㎡121万6,528円/坪2.50%
2021年[令和3年]36万5,000円/㎡120万6,611円/坪-0.81%
2022年[令和4年]36万9,000円/㎡130万5,785円/坪1.09%
2023年[令和5年]37万9,000円/㎡125万2,892/坪2.71%

このように現時点ではまだ地価が上昇しています。そのため価格下落が本格的になる前に、速やかに売却すれば値下がりに巻き込まれずに十分な値段で売ることができるでしょう。

不動産価格は一旦価格下落が発生するとパニック的に下落の波が起こることがあります。その波が生まれる前にいち早く売却し、生産緑地問題が起きにくい場所の不動産を購入するなどの対策を取りましょう。

世田谷区内で生産緑地が広かった千歳烏山駅付近の公示地価推移も確認します。

 ㎡単価坪単価上昇率
2019年[令和元年]56万1,000円/㎡185万4,545/坪5.25%
2020年[令和2年]59万1,000円/㎡195万3,719円/坪5.34%
2021年[令和3年]59万1,000円/㎡195万3,719円/坪0%
2022年[令和4年]60万0,000円/㎡198万3,471円/坪1.52%
2023年[令和5年]61万2,000円/㎡202万3,140円/坪2.00%

世田谷は地価の水準自体がまず練馬よりもかなり高くなっています。また地価上昇率も年々上がってきており、生産緑地が広く分布する問題の影響はまだ見られません。この風潮が続いているうちに売却を行うことで、値下がりが起きる前に十分な利益を確保できるでしょう。

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生産緑地の売却を考える際の手順と留意点

2022年問題への施策や、生産緑地の活用方法を紹介しましたが、農業を続けられずに売却を考える方もいらっしゃると思います。損をしないためにも、次の3つにはご注意ください。

1. 生産緑地の指定を解除する条件と手続き方法

生産緑地の指定を解除するためには次の2つの条件の内、どちらかを満たす必要があります。

  • 指定を受けてから30年経過した
  • 生産緑地における主たる従事者が死亡した、または障害や疾病を負い医師の診断により農業等の継続が困難とみなされる

主に次の手続きを取ります。

  1. 市町村に対して、買取りを申し出る
  2. 市町村側で買い取るか、農業希望者への買取斡旋かが判断される(買取の場合は1か月で回答、買取斡旋は2カ月で回答がくる)
  3. 買取りを申し出から3か月経過しても次の所有者が決まらなかった場合、農地としての管理義務(行為制限)が解除される
  4. 宅地化(農地転用)の手続きと、土地売却の準備(売却方法や価格設定の検討)を進める
  5. 固定資産税を変更する
    • 相続税納税猶予を受けていた場合は、猶予されていた相続税と利子税を納付
  6. 農地転用の許可を得て、宅地化工事を行う
  7. 不動産業者や買主と交渉し、売却する

売却する時には、宅地化手続きに時間がかかることをぜひ念頭に入れて進めてください。

2. 売却時の税務上の影響

上記にも記載しましたが、税金控除が永遠に続くわけではありません。

特に注意が必要なのタイミングは次の2つです。

  • 生産緑地に指定されて30年経過後も特定生産緑地に移行せず生産緑地のままを選択したとき
    • 固定資産税が宅地並みになる
    • 相続税の猶予がなくなる
  • 相続税納税猶予が打ち切られたとき
    • 猶予されていた相続税と利子税(納税猶予税額に年3.6%の割合)を一括納付が求められる

固定資産税も相続税も、土地の価格を把握しておけば、試算はできます。詳しくは次の記事も併せてご覧ください。

3. 売却方法と価格設定の重要性

生産緑地の指定を解除する手続き方法に記載した通り、買取を申し出ると、市町村側で買い取るか、農業希望者への買取斡旋かが判断されます。

なお、市町村側で買い取りとなった場合、低めに設定される傾向があります。理由としては、

  • 市町村の財政状況によっては、生産緑地の買取りに十分な予算を確保できないため
  • 市町村は多数の生産緑地を一括で買い取る必要があり、個別の土地の市場価値よりも低い価格で買取りを行う可能性がある

まずは、自分の所有する土地の価格を大まかでもいいので把握しておくと良いでしょう。

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AI査定を活用した生産緑地の売却準備

近隣の相場を参考に、宅地で売る場合はどのくらいの金額になるのか、まずは所有する土地のポテンシャルを知りましょう。

1. AI査定の仕組みと特徴

HowMaのAI査定は、1億件を超える不動産取引データと不動産会社の査定価格・成約価格データを組み合わせて分析し、実際の成約価格を予想しています。さらに日本全国の相場情報を毎年約120万件ほど収集し処理することで、査定価格情報を随時更新しお知らせする仕組みがあります。

さらに2023年にリリースした機能により、AIの大量データ処理能力と不動産会社の物件評価の肌感覚を組み合わせた新たな査定手法で「チャレンジ価格」と「安全価格」の2つの価格を算出します。2つの価格と幅の相場がわかることで、自分の納得のいく売り出し価格を決めることができ、後悔のない不動産売却活動ができます。

HowMaのコラボ査定

2. AI査定を利用する4つのメリット

  1. 手軽に無料で瞬時に査定できる
    匿名で個人情報の登録なしに、すぐに査定結果が得られます。いますぐ売却するつもりがなくても、自宅の価格をすぐに知ることができます
  2. 膨大なデータに基づく高精度の査定
    1億件を超える不動産取引データと不動産会社の査定価格・成約価格データを組み合わせ、AIによる大量データ処理能力により高精度の査定が可能です
  3. 2つの価格提示で売却戦略が立てやすい
    AIの大量データ処理能力と不動産会社の物件評価の肌感覚を組み合わせた新たなコラボ査定機能を使うことで、「チャレンジ価格」と「安全価格」の2つの査定価格を参考に、自分の納得のいく売り出し価格を決められます
  4. 全国の物件に対応
    土地も戸建て・マンションも全国の不動産に対応しており、査定実績は4,200万件以上あります
  5. 最新のAI査定額や、AI査定額の推移を確認できる

HowMaのマイページでは、下図のように最新のAI査定額や、AI査定額の推移を確認することができます。

3. AI査定の申込方法と流れ

  1. HowMaの公式サイトのトップページ「60秒で査定スタート」をクリック
  2. 物件種別(マンション、戸建て、土地)を選択
  3. 物件の所在地を入力
  4. 物件の詳細情報を入力
    マンションの場合:建物名、専有面積、階数など
    戸建ての場合:建物面積、土地面積、築年数など
    土地の場合:土地面積、都市計画、現況など
  5. メールアドレスを入力
    ※氏名、電話番号などの個人情報は不要
  6. 査定結果がすぐに表示される
    メールアドレス宛にも査定結果のURLが送られてくる

以上6ステップ、入力時間にして1分ほどでHowMaのAI査定を申込めます。物件情報を入力するだけで、面倒な会員登録なしでも、すぐに査定結果が得られます。

まとめ:いずれ売るときに備えて、定期的に資産価値を確認しよう

2022年問題に対する施策と、生産緑地の売却を考える際の手順と留意点、売却準備方法について紹介しました。

また、生産緑地の中でも大きな面積を有する練馬区と世田谷区を例に、地図を見ながら具体的に生産緑地が多いエリアの特徴を説明しました。自分が所有する不動産が生産緑地の多いエリアに属しているのかといった近隣の状況をまずは調べてみてください。

そして、いずれ売却することも考えて、今のうちに資産価値を把握してみてはいかがでしょうか。

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