節税対策に不動産を活用することは、ある程度知られているノウハウの1つです。
今回は従来の不動産活用からもうワンステップ深掘りした節税方法をご紹介します。
ポイントは法人設立と生前贈与です。さっそく、どのような仕組みなのか見ていきましょう。
個人では不可、でも法人なら可能?
まず、不動産を贈与する際の評価方法について、贈与評価額は相続評価額に等しく路線価によって算出されます。
また、贈与時に不動産を評価する際、借入金があれば不動産評価額から借入金分を差し引くことができるため、評価額を抑える効果があります。
知っている方も多いと思いますが、アパートなどの場合、贈与時の不動産評価額は時価の40〜50%程に圧縮することが可能です。
例えば、手元の現金5,000万円と銀行から借入れた5,000万円で1億円のアパートを購入したとします。
このアパートの評価額が時価1億円の50%評価として5,000万円だとすると、借入金の5,000万円を差し引き、価値はゼロとなります。
つまり、不動産が現金より低く評価される税制度と借入金をうまく利用して、節税ができる仕組みになっているのです。
このような節税方法はバブル期にブームとなりましたが、不動産市況に歪みが発生したため、取締りが厳しくなりました。
現在、例のようなケースでは不動産を贈与評価額ではなく、時価によって評価する必要があります。
しかし、いつの時代にも税法には抜け道というものがあるようです。
確かに個人ではこのような節税法はできなくなりましたが、法人であるなら話は別で、活用する事ができてしまうのです!
借入金と不動産贈与で節税効果!
では、法人を設立してどのように節税できるのか方法を紹介したいと思います。
〈法人を活用した節税方法〉
①贈与する人が資本金を拠出して法人(資産管理会社など)を設立
②資本金と借入金で法人が賃貸不動産(アパートなど)を購入
③贈与時の不動産評価額より借入金が多くなるため、法人は債務超過状態になり無価値になる
④贈与したい人に法人ごと贈与する
まずは親などの贈与する人が資本金を拠出して法人を設立します。
ここでは資本金5,000万円としておきましょう。
次に銀行から別に5,000万円を借入して1億円のアパートを購入します。
先ほど説明した通り不動産評価額はアパートの場合、時価の40%ぐらいまで圧縮できます。
するとどうでしょう?1億円で購入したアパートの評価額は4,000万円に圧縮できます。
そして借入金は5,000万円のままなので資産より負債が大きい債務超過状態になります。
本来、会社のバランスシートが債務超過状態ですと良く無い状態ですが、今回の節税法ではあえて債務超過状態にします。
すると法人の価値は無価値となるので、そのまま子供などに贈与すれば、贈与税は一切かかりません。
リスク把握はしっかりと!
このような節税の仕組みがあると良い事ばかりのように思えてしまいますが、あくまで借金をするリスクを考慮しなければなりません。
節税にばかりに気を取られ過ぎて、資産価値の乏しい不動産を購入してしまうと、借金をしている手前、資金繰りが苦しくなってしまい本末転倒になりかねません。
借入をして不動産を購入する場合は、資産としての不動産価値を調査する事はもちろんのこと、購入してから5年後、10年後先の収支計画を立てた上で採算が取れるかきちんと確認することが重要です。