一時期不動産投資の新たな対象として、注目を浴びた民泊施設の運営。
宿泊客と周辺住人の間のトラブルや、隠れ民泊と言われる法の目をかいくぐって運営されていた施設などの問題も発生しています。
「投資対象としての難易度が高い」と捉える人も多くなり、一時期よりも注目をあびることが少なくなりましたが、その一方でいわゆる『民泊新法」の施行で全国各地での民泊物件の運営が可能になるといった、追い風も見られます。
そこで民泊の最新事情、そしていま浮き彫りになっている問題について取り上げてみましょう。
京都の特定のエリアでは全国一位の地価上昇率を記録
京都府が発表したデータによれば京都府内の基準地価は外国人観光客の増加によって宿泊施設の需要が高まったこともあり、現在非常に高い勢いで上昇をしています。
特に京都市内の商業地に限れば全国の政令都市の中でも1位になっています。
その中でも顕著に地価の上昇を見せているのが、伏見稲荷大社(伏見区)付近であり、なんと29.6%も上昇して、上昇率に限れば全国トップとなっています。
ついで東山区の四条通大和大路東入ル付近は地価上昇率が27.3%、さらに下京区四条通柳馬場西入ルも25.3%となっています。
この傾向は数年間続いており、京都府内の主要観光地及び商業施設が多く立ち並ぶエリアでは目覚ましいほどの地価上昇率になっているのです。
その背景としては観光客の増加を受けた民泊施設の建設ラッシュが理由として挙げられています。
2016年3月には約700箇所程度であった、京都府内の民泊施設は、2017年10月には1800箇所にも増加しています。
課税対象となるのは、ホテル・旅館に加え、民泊や簡易宿所を含むすべての宿泊施設とされています。
門川市長は「早急に制度設計を進める」と述べ、2017年9月市議会に条例案を提出する意向を示したということで、早ければ2018年度にも導入されることになりそうです。
制度がスタートすれば、京都市内のホテルや民泊施設の宿泊者は、宿泊料金とは別に、宿泊税を支払う必要があります。
古都鎌倉も交通量の増加に対し、増税を検討
京都とはまた違った問題を抱えているのは神奈川県鎌倉市です。
古都鎌倉として知られるように、関東地方の中では随一の歴史を持つ土地として知られています。
そのため観光客も増加しておりここ10年で交通量が1.4倍に増加しています。
鎌倉市民の生活にも影響が出てきていることを踏まえ、鎌倉市では数年前から交通量の増加に対する検討委員会を設置しているのです。
現在出ている法案の施策案としては、鎌倉市内で休日の渋滞が発生しやすい時間帯に限って車で訪れるに人に対し、1台につき約1000円の税金を徴収しようというものになっています。
鎌倉市に観光に訪れる日本人客はもちろんですが、周辺に宿を取りレンタルレンタカーで鎌倉市に観光へ行こうという海外からの観光客にも影響が出てきそうです。
大阪や東京でも宿泊税を検討中
さらに京都や鎌倉だけではなく東京や大阪といった主要都市でも、民泊施設に対する宿泊税の課税は課題として上がってきています。
大阪では今年1月からすでに民泊施設への宿泊税の課税が行われています。
東京では8月末に都議会で民泊施設に対しても宿泊税を課税すべきではないかという議題が上がっており、こちらの導入もすでに大阪で課税対象となっていることを顧みればそう遠くないうちに行われそうです。
まだ他の自治体では目立った民泊施設への課税強化という話は出てきていませんが、札幌や福岡などの観光客が多いエリアでも同様の話が出てくるのは時間の問題でしょう。
宿泊税の与える影響は軽微?
一方で宿泊税の与える影響はどの程度でしょうか?
現在だされている宿泊税に関する法案の支度を見れば宿泊税の課税金額が1万円以上で100円。
そして徐々に1万5000円、2万円と言った区切りで50円100円と課税されています。
その金額を見ると分かるように、1万円以下の宿泊費の場合は課税がありません。
多くの民泊施設では、1泊あたりの宿泊費は1万円以下に抑えられているものばかりであり、直接宿泊税が課税されるからといって民泊施設で与える影響は非常に少ないと言えるでしょう。
そして宿泊税の用途としては観光地の環境維持や、レンタサイクルなどのサービスの充実清掃費などに当てられるとされています。
観光客の需要の増加によって起きた様々な問題を解決するため、費用の捻出をするために、宿泊税を取っていくのです。
他の宿泊施設に宿泊税が課税されることで、逆に民泊施設は観光地の需要増という恩恵を受けることができそうです。
その観点では、宿泊税の増加は、民泊施設にとっては歓迎すべきものであるとも捉えられるでしょう。
まとめ
日本に対する観光客は増加の一途であり、オリンピックはあくまでも契機でしかありません。
一度増えた観光客は治安や情勢の悪化でもない限りは、今後も上昇していくことでしょう。