ご好評をいただいている本シリーズの第7回目、前回は住宅ローンについて学びましたので、いよいよ契約続きの中身に入っていきたいと思います。
契約手続きにおいて特に重要なものは、「重要事項説明書」と「売買契約書」です。
契約書と聞くと難しく捉えてしまう方も多いですが、ここでは最低限チェックしてほしいポイントに絞って取り上げたいと思います。
重要事項説明書の大枠を理解しよう
重要事項説明とは、マンションや戸建など不動産を売買する際に、売買に関するあらゆる重要な事項について、買主(売主に対して説明義務はありません)に書面を交付して説明を行うことを言います。
これは、宅地建物取引業法と呼ばれる法律で定められており、宅地建物取引士(国家資格)によって説明するよう義務づけられています。
重要事項説明書はその名の通り、とても重要な事項が記載されていますので、しっかりと確認することが必要です。
また、売主と買主の間で結ぶ売買契約書とは違い、マンション売買を仲介、代理した不動産会社から一方的な形式で説明を受けます。
イメージとしては、「物件詳細や制限・ルールが記載されたそのマンションの取扱い説明書」と思って頂ければ分かりやすいかと思います。
具体的には、「宅地建物取引業法で定められた内容」、「マンションに関する制限や負担(瑕疵など)」、「契約条件に関する内容」などが記載されています。
しかし、はじめてマンションを購入する方にとっては、正直分かり難い部分も多々ありますので、まずはチェックすべき大まかなポイントだけ押さえておきましょう。
<重要事項説明書のチェックポイント>
① 契約を解除する際の条件とペナルティ
② 違約金が発生する際の条件と違約金の額
③ マンション専有部、共用部に関する規約内容
④ 第三者によるマンション利用権の有無
⑤ 所有権、抵当権などの登記内容(※マンションによっては所有権ではなく借地権の場合もあるので注意)
買主が重要事項説明を受けるタイミングは、契約書を締結する前と法律で決まっていますが、実態としては、契約日に契約書の説明と同じタイミングで併せて行われます。
「契約当日にはじめて重要事項の内容を知った、、、」といったことを避けるためにも、不動産会社には、契約日の最低1週間前までに一度記載されている内容について、事前に説明をするよう頼んでおきましょう。
1週間ほどの時間があれば、記載事項の疑問点や不明点について、解消することが出来ますので、万全の状態で契約に臨むことが出来ます。
売買契約書の大枠を理解しよう
実を言うと、売買契約書の内容は、重要事項説明書の内容と90%以上が被っています。
また、実務上は売買契約書よりも重要事項説明書の方が詳細な内容が記載されているため、重要事項説明だけ理解して、売買契約書は重要な項目以外は端折る傾向(買主の意向によって)にあります。
しかし、売買契約書は売主、買主の当事者間で締結する重要な契約ですので、面倒くさがらずにしっかりと確認しましょう。
売買契約書には、「売買するマンションの物件概要」、「代金の支払い方法」、「登記の方法」、「契約解除の事項」などが記載されています。
繰り返しになりますが、これらの内容は重要事項説明書と重複していますが、再度読み込んで理解することが大事です。
ほとんどの契約書は条文が細かい字体で記載されているため、正直言って不親切で読みにくいですが、最低でも重要な事項はチェックすべきだと思います。
ここでも大まかなポイントを取り上げます。
<売買契約書のチェックポイント>
① 売主による「契約の履行に着手」が何を意味するか確認
例:引渡し日の到来など(※建築中(未完成)新築マンションの場合は注意が必要)
② 売買代金の支払い方法、手付金の額、期日も併せて確認
③ 契約を解除する際の条件とペナルティ
④ 登記方法など法的手続きの確認
⑤ 買替特約や住宅ローン特約の有無
補足として、③の契約解除に関する事項ですが、基本的に買主の契約解除のペナルティは手付金の放棄、売主は手付金の返還+手付金と同額の違約金の支払いとなります。
また、⑤の買替特約と住宅ローン特約ですが、どちらとも買主を保護するための特約になります。
ただし、適用するためには、それぞれの条件を満たす必要があるので、詳細は不動産会社に相談してみましょう。
契約書においても、重要事項説明書と同様に最低でも契約日の1週間前までには一度事前に説明を受けて、疑問や不明な点は解決しておきましょう。
マンションの購入に限らず、何でも初めて行う事は分からないことがあって当然です。
「こんなことを尋ねたら無知がバレて恥ずかしい、、、」なんて考えずに積極的に質問していきましょう。
マンションは非常に高い買い物です。後々後悔しないためにも、少しでも不安に感じたら問い合わせて1つ1つ解決していくことが大事です。