前々回、前回に続き、これからマンションを買おうとしている方へ贈るお役立ちコラムの第3回目。
今回は、「マンション価格決定の仕組み」について取り上げたいと思います。
不動産会社は一体どのようにマンションの販売価格を決めるのでしょうか?
一緒にみていきましょう!
こうしてマンション販売価格は決まる(マクロ的視点から)
販売価格はマクロの視点から大きく分けると、「市況」と「需要・供給」により決定されます。
「市況」は主に社会全体の景気や不動産市況の動向によって、「需要・供給」は主にマンション建設エリアのマーケット規模や他マンションとの競合状況によって変動します。
この2点の状況を考慮して販売価格を決めていくのですが、一般的な価格決定のプロセスとしては、用地取得段階、広告開始段階、正式価格決定段階と3段階のステップを踏みます。
用地取得段階
マンション用地取得時の景気動向や不動産市況などの視点から暫定的な販売価格を決定
↓
広告開始段階
マンションを広告する時に景気や不動産市況を再び考慮し、加えて、周辺エリアの競合状況を加味して販売価格を決定
↓
正式価格決定段階
広告に対する顧客の反響状況を考慮して、価格を修正し、正式な販売価格を決定
マンションの規模によって多少の違いはあるものの、用地の取得から販売開始までには、最低でも1年以上の期間を要するため、当初計画していた販売価格と実際に販売を開始した時の価格は、変更されることがあるのです。
例えば2008年頃に遡ると、米国から端を発した金融危機により日本の不動産マーケットは甚大な影響を受け、新築マンションの値下げラッシュが起こりました。
これらの値下げされたマンションの用地を仕入れた時期は、実は不動産市況が活況だった2005年~2007年頃のものが多かったのです。
当時のマンションデベロッパーは、今後も不動産マーケットは上向くだろうと予測していたため、積極的に用地を取得していました。
その結果、金融危機後は大量の在庫が残ってしまい大幅な値引きを強いられたのです。
マンション販売価格の内訳は、「土地代」と「建築費」で大半を占めており、これらは景気動向の影響をかなり受けやすい特徴があります。
現在のように地価上昇や職人不足による建築費が高騰している時期は、マンションの原価も高くなります。
そのため、不動産業者も利益を確保しようと販売価格を吊り上げて販売せざるを得ない状況となってしまうのです。
こうしてマンション販売価格は決まる(ミクロ的視点から)
たとえ同じマンションでも階数や間取りによって価格は異なります。
タワーマンションなどでは、高層階の部屋と低層階の部屋では販売価格に大きな差が出ることがあります。
では、部屋ごとの価格はどのように決まるのでしょうか?
ここではマンションの部屋ごとの価格差について、取り上げたいと思います。
あくまで一例ですが、下記のような要因が価格に影響されると考えられます。
<方位>
・眺望が変わらなければ、基本的に南向きはプラス評価
・角部屋はプラス評価
<部屋プラン>
・ワイドスパン(間口)はプラス評価
・両面バルコニー、ルーフバルコニーはプラス評価
<階数>
・低層階より高層階の部屋はプラス評価
<プライバシー・騒音・臭気など>
・エントランス、エレベーター、駐車場、ゴミ捨て場などの近くの部屋はマイナス評価
<専用使用>
・専用庭、専用駐車場がある部屋はプラス評価
・トランクルーム利用権利付きの部屋はプラス評価
以上のように、常識的に考えても「良い部屋」と判断できる部屋は、やはり価格も高くなります。
ただし、なかには例外もあります。
部屋の方位は、通常、日当たりを考慮すると北向きより南向きの方がプラス評価となりますが、北向きの眺望が優れている場合(海や東京タワーなどが見れるなど)は、逆の評価もありえますので注意が必要です。
「価格が高いマンション=自分自身の条件を満たす」というのは、必ずしも当てはまることではないので、ひとつの参考程度にして頂ければと思います。